ODD Foot Works、Kroiとのリベンジライブで観客と共に作り上げた一体感

ODD Foot Works(photo by Yosuke Torii)

2022年6月16日、木曜日の夜に渋谷クアトロで開催された「GALAXY MOTEL vol.6」。企画したODD Foot Worksとゲスト出演のKroi、それぞれが表現する心踊る音楽が熱いステージ上で繰り広げられていた。

ODD Foot WorksとKroiのツーマンライブは前回の「GALAXY MOTEL vol.5」に予定されていたが、Kroiのメンバーが新型コロナウイルスに感染したことで出演キャンセルとなり、満を持して今回はそのリベンジライブとなった。会場はライブフロアを後ろまで埋め尽くすほどの観客たちで溢れていて、仲間と談笑をしたり、お酒を飲んだりしながら各々にリッラクスして開演の時間を待っている様子だった。

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開演の時間になると会場は暗転。最初の登場はKroi。素敵な夜会の幕開けを知らせるかのような音色のシンセが会場に響き渡ると、1曲目「Small World」が始まる。内田怜央(Vo)のシャウトに会場の空気は一気に熱を帯びていき、毒気のあるフリーキーなサウンドに導かれて観客たちは独特なKroiの世界観へと惹き込まれる。クールに歌い上げると次の曲はスロウテンポなファンク曲「Mr. Foundation」。洗練された少ない音数の中で、益田英知(Dr)のドラミングの絶妙なタイム感が際立つ。続けて、Kroiの代表曲の一つである「Balmy Life」。独特なアクセントの高速ラップに、観る者のバイブスはますます上がっていく。次に、ポップテイストの曲調の中で緻密なグルーヴ感が溢れる楽曲「selva」。曲中のベースソロでは、関将典(Ba)がスチュワート・ゼンダーを彷彿とさせるファンキーで切れ味鋭いベースプレイを炸裂させる。続けて4曲目は、80年代ディスコサウンドをKroi流のミクスチャーな音楽に昇華した楽曲「Page」。千葉大樹(Key)が奏でる多彩な音色のシンセが、Kroiの個性の一つである「懐かしくも新しい」音像を構築しているのだと感じた。


(photo by Yosuke Torii)

「どうもKroiです。よろしくお願いします。本当に申し訳ありませんでした! コロナにぶち当たってしまいました(笑)!」と開口一番に前回の出演キャンセルについて謝り、会場からは笑いが起こる。続くMCでは内田が「ODDさんは、今はもう無くなってしまったGARAGEというライブハウスで出会った素敵な先輩の1人です」とODD Foot Worksと再び共演することへの思い入れを語った。

再び演奏に入り、2022年5月にリリースした最新曲「Pixie」を披露する。ドープな雰囲気のサウンドと内田のソウルフルな歌声に、観客の心はディープな陶酔感へと誘われる。続いて、泥臭さの中にエキセントリックな遊び心を感じるパーカッシブなスラップベースがビートを刻むファンクナンバー「Juden」。Kroiの楽曲には、それぞれの楽器がフィーチャーされるようなセクションが多くあり、まるでセッションライブのような臨場感を加速させ、観客たちを沸き立たせる。ただ、高度な演奏力を見せ付けてオーディエンスを置き去りにしてしまうようなテクニック至上主義の音楽とは明らかに違い、Kroiの音楽には人々のツボを押さえた人懐っこいフックが散りばめられていて、意識せずとも心と体が踊ってしまうような本能を刺激するグルーヴが渦を巻いている。


(photo by Yosuke Torii)

そしてライブ終盤、「最後までブチ上がってくださいね! いい日にしてください!」という内田の呼びかけに観客たちは拍手と歓声で応じる。長谷部悠生(Gt)が奏でる洒脱で印象的なギターリフから始まる「HORN」では、曲の展開とともにリズムを変化させ、ラストサビで気持ち良く4つ打ちに落ち着くことで一気に高揚感を爆発させる。最後の曲は骨太なファンクを基盤に、ロック、ヒップホップ、ソウルなど幅広いジャンルのエッセンスを取り入れたKroiの真骨頂とも言えるミクスチャーな楽曲「Fire Brain」。繰り返される最後の畳み掛けのラップに、観客のボルテージは爆上がり。最高潮の盛り上がりを見せたところで曲を締め括ると、まだ冷めやらぬ熱気とともに客席からは拍手喝采が沸き起こる。そんな独自の音楽性と自由奔放な遊び心をパフォーマンスから存分に見せてくれたKroiは、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。今後もKroiが新時代の音楽シーンの中でどうなっていくのか目が離せない。

Rolling Stone Japan 編集部

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