BLACKPINK・ROSÉが語る、傷つきやすさが持つ力とBLACKPINKが家族である理由

ーー子どもの頃は、意識せずに音楽に惹かれていったのでしょうか?

そうだと思います。家には、親戚から譲り受けたものすごく古いピアノがありました。10年くらい使っていたものだそうです。色褪せた茶色で、見た目もすごく地味でしたが、ちゃんと音は出ました。いつもリビングルームに置いてありました。子どもの頃は、ピアノの練習をさせられましたが、大嫌いでしたね。ピアノの先生はすごく怖い人だったので、レッスンを嫌がって泣いたそうです。

ーーオーストラリアでも、韓国人の家庭では、子どもたちは無理やりピアノの練習をさせられるんですね!

ええ、もちろんです! 私は、ごくごく普通の韓国人として暮らしていました。ある日、母に「もうレッスンを受けたくない」と言ったのを覚えています。母は納得してくれました。驚きましたね。基本的な和音の弾き方は習得していたので、歌の伴奏には十分でした。あの頃はインターネットの速度が遅くて、朝起きて映画が観たい時は、“ダウンロード”をクリックして2日くらい待たなければいけませんでした。でも、ピアノは充電する必要もありません。弾きたい時に、いつでも弾くことができました。

両親はいつも仕事で家にはいませんでした。いま考えると意外ですが、当時の私は、あまり友達と一緒に出歩いたりしませんでした。みんな家からかなり遠い場所に住んでいたのです。姉は勉強していたので、私だけやることがなくて。3時間テレビを観つづけて、テレビにも飽きるとピアノを弾きはじめました。両親から「もう寝る時間よ! 静かにしてくれない?」と言われるまで弾きつづけていました。

ーー「ロザンヌ! 歌はもういいから、はやく寝なさい!」とご両親に怒られた時のことについて、詳しく聞かせてください。

実際には、「ねえロザンヌ、そろそろ寝ない?」と両親に言われたのを覚えています。でも、あとになって姉から聞いた話によると、2階の両親の部屋で集まって「次は誰がやめさせに行く?」と相談していたそうです。「いったいあの子は、いつになったらやめるんだろう?」と、みんな呆れていたみたいです。そんなこと、全然知りませんでした! 私には言わなかったんです。考えてみると、優しいですよね。スーパースターになる夢を壊さないでくれて感謝しています(笑)。

ーー幼少期を過ごした家について、記憶に残っていることはありますか?

2階建ての普通の一軒家でした。裏庭があって、犬を飼っていました。近所には、年配の人が多かったです。子どもが多い地域ではありませんでした。とても静かで、みんなフレンドリーで、世間的には、私たちは穏やかなアジア系移民の一家でした。トカゲがたくさんいました。朝起きて外で靴をはくと、靴の中に小さなトカゲがいっぱいいるんです。小さなトカゲとか大きなゴキブリとかは、いまもすごく苦手です。


BLACKPINKのROSÉ(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by Peter Ash Lee for Rolling Stone. Top, pants and belt: Saint Laurent by Anthony Vaccarello


ーー音楽について話しましょう。あなたは、音楽と真剣に向き合っています。写真撮影やインタビューや華やかなイベントといった音楽以外の仕事もありますが、あなたにとってもっとも重要なのは音楽なんですね?

月並みな表現かもしれませんが、本当におっしゃる通りです。すべては、音楽に対する愛を起点としています。音楽があるから、幸せでいられるんです。何というか……癒しのようなものですね。音楽は、私の心を落ち着かせて、あれこれ考えることをやめさせてくれます。それと同時に、こうした楽しい仕事ができるのも音楽のおかげです。写真撮影とか、テレビ(カメラ)の前に立つこととか、どれも本当に楽しいですし、こうした状況に感謝しています。でも、そうしていると音楽のことを忘れてしまうんです。ギターを抱えて座り、歌うことを忘れてしまうんですよね。

オフの間に、自分がどれだけ歌うことが好きかということに気づきはじめました。最近は、またギターを弾きはじめました。ここ2〜3カ月はこうしたことをまったくしていませんでした——日常生活に追われていて。でも、何もすることがない日が数日できたので、何も予定を入れませんでした。家にいて、何が起きるか見守ることにしたんです。

Translated by Shoko Natori

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