ポール・マッカートニーの歴史的ステージ、グラストンベリー史上最高の共演劇を振り返る

ポール・マッカートニー、デイヴ・グロール、デイヴ・グロール、ブルース・スプリングスティーンの夢共演(Photo by Samir Hussein/WireImage)

さる6月25日の土曜日、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)が英グラストンベリー・フェスティバルに出演。フー・ファイターズのデイヴ・グロール、ブルース・スプリングスティーンと共演し、故ジョン・レノンとのバーチャル・デュエットまで果たした。貴重な現地レポートをお届けする。

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グラストンベリーの50年に及ぶ歴史を振り返っても、最高の瞬間のひとつになったのは間違いない。地球上で最も有名で影響力のある現役ソングライターのポール・マッカートニーが、ピラミッド・ステージで共演すべくデイヴ・グロールとブルース・スプリングスティーンを呼び寄せた。

信じられないような瞬間であることは間違いない。ただ、期待どおりだったともいえるだろう。なにせ彼は現存するビートルズの一員なのだから、誰かの力を引き出したり、助けを求めたりするのはたやすいことだろう。

セットの幕開けを飾ったのも、まさしくビートルズの楽曲だった。「Can’t Buy Me Love」の爆発的な演奏は、ピラミッド・ステージの観客を、絶頂期のビートルマニアに匹敵するような熱狂へと巻き込んでいく。

ポールはその後も、ファブ・フォーとウイングスのヒット曲を次々と披露。土曜夜のグラストンベリーを盛り上げる雰囲気をしっかりと作り上げていく。この曲は、ようやく時代が彼の声に追いついたというべき名曲「Blackbird」を演奏すると、柔らかな空気が流れだす。

この曲のあと、ディープカットや新曲が少し演奏されたことで、セットが中弛みのようになったのは否めない。ポールはビートルズのヒット曲を演奏するとき、オーディエンスが構える携帯電話のカメラを「銀河の星々」みたいだとジョークを飛ばしたが、あまり知られていない曲をあえて演奏すると「ブラックホール」が現れるとこぼしていた。

そういった非有名曲のなかでも「My Valentine」はこの日唯一の失敗だった。ポールの背後にあるスクリーンに、ジョニー・デップ主演のミュージックビデオを映すという奇妙な演出が施されていたが、ここは飛ばすのが賢明な選択だったと思う。

しかしそこから、「Ob-La-Di, Ob-La-Da」の奇妙なチャーム、「Get Back」の轟音グルーヴとヒット曲が続き、「I Saw Her Standing There」でデイヴ・グロールが登場すると、お祭りムードが一気に戻ってくる。

Translated by Rolling Stone Japan

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