コナン・グレイ「まともなデートをしたことがない」Z世代スターが自分を曝け出す理由

 
ネットとの距離感、オリヴィア・ロドリゴとの関係

コナンにとって、曲作りは自分と向き合うための手段だ。また、コナンのデビューアルバムや、オリヴィア・ロドリゴの大ヒット作『Sour』をプロデュースしたダン・ニグロという強力なプロデューサーの存在も大きかったに違いない。「彼は僕の師匠であり、父親のような存在でもある」とコナンは話す。

子供時代を過ごしたベッドルーム、そして短期間ながらUCLAの学生寮から動画を配信していたYouTuberだったコナンに、初めて本格的なスタジオでのレコーディングの機会を与えたのがニグロだった。「マイクスタンドを立てて歌ったことがないって言ってたよ」とニグロは話す。「無名のアーティストを発掘したのは初めてだったけど、これまでの人生で最も達成感を覚えたことのひとつだよ。彼が持ってくるアイデアは常にすごくユニークで、それをできるだけ優れた形でアウトプットするのが僕の仕事だと思ってる。彼は稀有な才能の持ち主だから」


コナン・グレイ 2022年5月 ブルックリンにて撮影
Photo by Justin J Wee for Rolling Stone. Shirt and vest by Etro. Pants: Vintage. Jewelry by Presley Oldham.

また最近は、自分の人生を大きく変えたインターネットとの関わり方についてもじっくり考える機会が多いという。高校時代、彼は自身で編集したデジタルアートや近況報告動画、ウクレレ弾いてみた動画等をYouTubeに投稿し続け、熱狂的なフォロワーを獲得した。頭に浮かんだことを片っ端からツイートしていた彼は、深く考えず何もかもをシェアしようとする、典型的なZ世代の若者だった。

高校3年の時、コナンは最初の曲「Idle Town」をリリースした。同時に公開したDIYのノスタルジックなミュージックビデオでは、退屈な故郷での暮らしとそこで出会った親友たち、その町を出ていきたいという切実な思いが描かれていた。UCLAに入学したわずか数カ月後、彼は大学を中退してRepublic Recordsと契約し、1st EP『Sunset Season』を発表する。その後『Kid Crow』がリリースされ、すべてが完璧な女の子への憧れを歌った「Heather」はダブルプラチナを記録し、同世代の若者(とTikTok中毒者)たちのアンセムとなった。



しかし、同曲がシーンを席巻していた2020年の夏、インターネットは突如としてコナンにとって恐ろしいものとなった。彼が過去にブラックフェイスをしていたという事実無根の噂が流れ、13歳の頃に投稿した動画での日焼けしたコナンが「メキシコ人っぽい」と揶揄され、彼の使う絵文字の色が肌の色と一致していないとして批判されたりした。

2020年7月に、コナンはTwitterで自身の見解を述べ、トゥイーン(8~12歳)の頃に配慮に欠ける発言をしたことを認める一方で、中にはまったくの言いがかりもあると主張した。それ以来、コナンはデジタルライフ(少なくともTwitter)から遠ざかるようになった。

「あれはプライバシーの侵害以外の何者でもなかった。ゾッとしたよ。僕はあの経験から、何がOKで何がそうじゃないのかを、ごくわずかなサンプルから判断しなくちゃいけないってことを学んだ。当時の僕は何もかもに振り回されてたから」とコナンは話す。「気が狂いそうだった。どれだけ気分が沈み込んでいても、お構いなしに打ちのめされてた」

その後、インターネットを「本気でリスペクト」し、それが「極めてパワフルなツール」となり得ることを学んだコナンは、TikTokの使用は日に数時間と決めている。「インターネットから適度に距離を置いて、僕のことを無条件で愛してくれる人たちにフォーカスすることにしたんだ」

そのうちの1人が、彼の親友であるオリヴィア・ロドリゴだ。2021年初頭に知り合った2人は、コナンが作詞家としての自分の「育ての親」と崇めるテイラー・スウィフトが大好きであるという共通点を理由に親交を深めていった。ちょうどその頃、スウィフトは再レコーディングした「You Belong With Me」のスニペットを、同曲のビデオのアイコニックなシーンを再現した”2人の若者”に公開させている。



それ以来、2人は様々なアワードやメットガラに一緒に出席しており、最近ではオリヴィアの『Sour』ツアーのステージで、ケイティ・ペリーの「The One That Got Away」をデュエットしている。プライベートで2人が会うときは、大抵「食べ物を大量にオーダーして映画を観てる」という。

「僕はあらゆるものにおいて、量より質を重視するんだ」とコナンは話す。「オリヴィアのことは大好きだよ。頼れる友達がいるっていうのはいいものだね。(名声は)人を惑わせるから、互いに共感できたり、一緒にいて落ち着く相手がいることに感謝してる」

Translated by Masaaki Yoshida

 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE