コナン・グレイ「まともなデートをしたことがない」Z世代スターが自分を曝け出す理由

 
恋愛は「執着するタイプ」

アルバムの4曲目「Best Friend」は、長年にわたって友情を育んできた何人かの友達(高校時代の親友Ashleyを含む)に捧げられている。”君は僕と同じくらいイカれてる/頭の中も同じくらい狂ってる/だから僕は聞かれるたびにこう答えてる/あれが僕の親友だって”。ギターがリードするこのスウィートな曲で、コナンはそう歌っている。

「こんなにも友達を頼りにするのって、もしかしたらあまり健康的じゃないのかもね。でもそうしなきゃ、僕はきっといろんなことを乗り越えられなかったと思う」とコナンは話す。「高校時代の友達がいなかったら、僕は生き延びられなかったかもしれない。セラピーにも通っているけど、友達こそが僕のすべてだと思ってる。電話をかけたりメールをしたり会いにいったり、僕は友達のことを本当に頼りにしてるんだ」



失恋の痛みを表現するのが得意な人と一緒にいると、自分の経験を話したくなってしまうものだ。彼のコーチェラでのパフォーマンスと、風にはためくバブルガムピンクの衣装について語りながら、筆者は昔の恋人と一緒に彼のステージ(元恋人から距離を置いて傷を癒やそうとする人物像を描いた「Memories」を初披露した)を観ていたことを告白した。彼にはまるで関係ないというのに。

「何でそんなことをするんだい? 君はどうかしてるよ!」。彼は声を荒げながらそう言った。「君はマゾだ!」



彼の言い分は正しく、筆者は叱られて然るべきだ。だがひとこと言わせてもらえば、彼だって人のことは言えない。『プライドと偏見』を初めて観たあと、映画で描かれるロマンスが事実とはかけ離れていることを知ってボロ泣きした時に書いたという「Footnote」がその証拠だ。「好意を寄せていた人が自分のことを何とも思っていなかった、その事実を受け入れた上で諦めようとする」同曲で、彼はこう歌っている。”君の人生に脚注をつけておこう/僕の体を乗っ取ればいい/すべてのラインを君に捧げていたのに」

「どうしようもなく好きで、心の底から愛していて、大切にしたいと思っている相手が自分のことを何とも思っていないことを知った時は、少し恥ずかしい気持ちになる」と彼は話す。

過去のインタビューで、コナンは交際経験がないと語っていたが、『Kid Krow』のリリース後は恋愛の「経験値が上がった」と打ち明けてくれた。「『Superache』のテーマは、生まれてからずっとシングルのままでいる理由が自分自身にあるのを知ったことなんだ」とコナンは話す。「『こんな曲を延々と歌っているのは、君が狂っていて問題を抱えているからだ。他人を寄せ付けようとせず、真剣に向き合うことを恐れ、臆病で震え上がっている君は、どんな曲を書いたって、そういう気持ちを面と向かって誰かに伝えることなんて絶対にできない』みたいな感じ」

恋愛に関して、コナンは「執着するタイプ」であり、たとえ恋人同士になれる見込みがまるでなくても、なかなか諦めきれないのだという。「実を言うと、まともなデートをしたことがないんだ。いつか自分にぴったりの人に巡り会えると信じてる。まだ知らない誰かと」。コナンはそう話す。「その過程で僕が経験してきたことって、すごく笑えるんだよ。だからこのアルバムにはそういうトピックが多いんだ」


Photo by Justin J Wee for Rolling Stone. Shirt by Etro. Jewelry by Presley Oldham.

前作をリリースした時、世界は隔離の時代を迎えようとしていた。「奇妙だけど、当時のムードにすごくフィットしてたと思う」。コナンは『Kid Krow』についてそう話す。「ベッドでゴロゴロしながら作ったアルバムで、リリースされた時も僕はベッドの中にいた。そしてみんな、ベッドで横になったままあのアルバムを聴いてた。ツアーに出るまで、僕は自分がどれくらい落ち込んでいるのか自覚していなかったんだ。『あれ、僕ってこんなに凹んでたんだ』って感じ。あんなにも長いあいだ独りでいるっていうのは、やっぱり普通じゃなかったんだ」

今作はというと、Twitterでのコメント欄やディスプレイ上ではなく、大勢のファンが目の前で彼の歌詞を合唱するワールドツアーの完走から数週間後にリリースされる。「外に出ていろいろと経験できる、それだけで十分幸せだよ」と彼は話す。「幼い頃、僕は失敗して傷つくことをすごく恐れてた。でも今はこう思える。『傷ついたって構わない。胸が張り裂けるような思いをしたって、その日何かがうまくいかなくたって気にしない』。今はそう思えるし、かかってこいって感じさ。何も感じないよりは、たとえ破裂しそうでも全てを感じていたいから」

彼は自分を「傍観者」と表現したが、コンサートで何千人もの観衆を前にして、Instagramで600万人にフォローされていても、そんな風に感じているのだろうか?「何かに参加するよりも見てる方が好きっていうのは、きっとこれからも変わらないと思う。僕自身、それでいいと思ってるんだ」と彼は話す。「特に変える必要はないと思うから。ただ、観察してる最中に誰かに干渉されても気にならなくなったとは思う」

我々が話している最中に、誰かが恐る恐るといった感じで話しかけてきた。「邪魔してごめんなさい、でもあなたの曲が大好きだってことを伝えたくて」。カフェの前を通りかかった時にコナンに気づいたという、緊張気味の女の子はそう言った。「コーチェラであなたのショーを見たんですが、素晴らしかったです」

コナンにとってこういったことは日常茶飯事のはずだが、彼は条件反射的に猫背気味になり、謙遜した様子でその女の子に礼を言った。

「あんな風に言われると本当に嬉しいよ」。筆者との会話を再開する前に、彼はそう言った。”人生の観察者”は、他人から観察されることにはまだ慣れていないようだ。

From Rolling Stone US.




コナン・グレイ
『Superache』
発売中
歌詞対訳解説付き
国内盤CD初回生産分のみ:抽選で公式グッズがあたるシリアルチラシ入り
視聴・購入:https://umj.lnk.to/ConanGray_Superache

CONAN GRAY JAPAN DEBUT SHOWCASE
日程:2022年7月15日(金)
時間:開場17:30/開演18:30
会場:都内某所 ※当選者にのみお知らせ
内容:トーク&パフォーマンス(予定)
応募方法:https://www.universal-music.co.jp/conan-gray/news/2022-06-24-2/

日本公式HP:https://www.universal-music.co.jp/conan-gray/

Translated by Masaaki Yoshida

 
 
 
 

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