ヴァンパイア・ウィークエンドが語るフジロック出演の真意、細野晴臣とダニエル・ハイムのこと

ダニエル・ハイムと謎めいた写真

―『Father of the Bride』のレコードジャケットの内側(CDブックレットの裏表紙)に載っているのは、渋谷のセルリアンタワー東急ホテル付近から撮影した、センター街の写真のように見えます。手前に写っているのは、前回のフジロックにも帯同していたハイムのダニエル・ハイムでしょうか?

エズラ:そう、ダニエルだよ。ご存知の通り、彼女はアルバムにたくさん参加してくれている。シンガー、そして声のテクスチャーとしてね。あの写真には面白い経緯があって。2018年の夏、東京での1週間の滞在中、スタジオに行ったり、フジロックに出たり、レーベルの人たちに会ったりと多忙だった。そんな中、フォト・セッションもやったんだ。で、ダニエルも一緒に来てたから撮影についてきた。当然バンドの写真をたくさん撮ったわけだけど、カメラマンがホテルの部屋でいつの間にか彼女の写真も撮っていた。後日、上がってきた写真を見た時、例の写真があって、ピントが合ってなくて彼女の姿がけっこうボケてたのもあって、何か謎めいた雰囲気を醸し出していた。アルバムのジャケットにしようかとさえ考えた。僕たちは昔から一風変わった、白みがかったアーシーな写真をジャケットに使ってきたから、今回もいい写真があればそれを継承しようかとも考えていて、それにこの写真がいいんじゃないかと思ったんだ。

でもまあ、ダニエルはアルバムにたくさん参加してくれているとはいえ、違うバンドのメンバーをいきなりアルバムのジャケットに起用するのは、さすがに変だろうと思ってやめた。ただ、あの写真自体はすごく気に入っていた。彼女だってすぐにわかる人があまりいなくて、いったい誰なのか謎めいたものがある。しかも背景が東京の街で、そこがどこか誰もがわかるというわけじゃない。そんなミステリアスなところに惹かれた。だから“アース・デイ”のロゴのような『Father of the Bride』のジャケットが嫌いな人もきっといるだろうから、アナログ盤の見開きを開けた時に綺麗な写真があったら、喜んでもらえるんじゃないかと思ったんだ。




上から『Father of the Bride』CDブックレットの裏表紙、日本盤ジャケット

―今回の来日メンバーはどのようになりそうですか?

エズラ:前回と同じ『Father of the Bride』のバンドになる。僕たちの中では、今度の日本と韓国でのライブは『Father of the Bride』時代の締めくくりを飾るライブになる。それでさっきも言った、ちょうどぐるっと一巡した感じだ。それが終わったら、本格的に次のアルバムの仕上げ作業をする。だから次にまたライブをやるとすれば、次のアルバムのフェーズに入った時になる。

―今回のフジロックでは、あなたたちと同日に出演するドーズとは交流もあるのではないかと思いますし、3日目に出演するスーパーオーガニズムは以前ラジオで紹介したこともありましたよね。特に楽しみにしている出演者は?

エズラ:恥ずかしい話、いつも現地に着くまでラインナップを見ないんだ。自分がいつ現地に着くか、その時になってみないとわからないからね。他に誰が出るの?

―今年は日本のバンドが多いですね。あとはボノボとか、出演日は違いますけど、ジャック・ホワイトとかフォールズとか。

エズラ:フォールズ! 大好きなバンドだ。昔よくフェスで一緒になった。ボーカルのヤニスには久しく会っていないけど、凄くクールな奴だよね。

―今日はありがとうございました。

エズラ:こちらこそ、どうもありがとう。日本に行くのを楽しみにしているよ。


『Father of the Bride』収録曲「This Life」、2019年のグラストンベリー・フェスにて




FUJI ROCK FESTIVAL ’22
2022年7月29日(金)〜31日(日)
新潟県 苗場スキー場
※ヴァンパイア・ウィークエンドは7月29日(金)出演
公式サイト:https://www.fujirockfestival.com/

Translated by Yuriko Banno

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