眞島秀和が語る、『破戒』が描く差別問題と縁を大事にする生き方

「映画の中で、猪子蓮太郎が瀬川丑松に語るシーンが印象的でした。『差別をするのは、人間が愚かだからではなく弱いからだ』というセリフは胸に刺さりますね。そういう、この作品が持っている本質の部分に直接関わるような言葉を口にするのが猪子というキャラクターでもあったので、彼を演じるハードルはかなり高く、飛び越えるには強い意志と覚悟が必要でした」

そう話す眞島。特に大変だったのは、とある議員の選挙応援のため壇上に上がった猪子が、集まった大衆に向かってスピーチをするシーンだったという。
「それを見た丑松は、それまでの自分の価値観が根底から揺らぐほどの衝撃を受け、新しいアイデンティティを形成しその後の生き方すら変えていく。そのくらい大事なスピーチだったので、精神的にかなり強い気持ちで臨まないと説得力のあるシーンには絶対にならないと思いましたね」


©全国水平社創立 100 周年記念映画製作委員会


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今回、映画の中で間宮との共演シーンが多い眞島。これまで大河ドラマなどで一緒になる機会はあったが、「ここまでガッツリと絡んだのは初めて」だという。

「間宮さんが演じた丑松は、猪子の考え方に深く心酔している人物だったので、とにかくものすごい熱量で僕にぶつかってくるわけです。もちろん、演技の上で。その熱に応えるためには、こちらも全力を出さなければ吹っ飛ばされてしまう(笑)。その緊張感は並々ならぬものがありました。とはいえ撮影の合間は一緒に昼食を食べに行って、和気あいあいと過ごすことができましたね。そこのところの切り替えもとても上手な方なので、現場はとてもいい雰囲気でした。主に京都で撮影していたのですが、現場近くにいい喫茶店があって、そこの常連さんとも物凄く馴染んでいたのも印象的でしたね。人を惹きつける力のある人なのだなと思いました」

Photo = Mitsuru Nishimura Hair and Make-up = Yuuka Saeki

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