レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン11年ぶり復活ライブ 混迷の時代に4人が帰ってきた

この時代に「復活」することの意義

この日のライブでは、メンバーの誰一人として観客に話しかけたり、自分たちの長い不在に言及したりすることはなかった。しかし、サイレンからターンテーブルまでギターの音を自在に操るトム・モレロは、最後の数曲で「I Love CRT」と書かれたシャツを着用し、スクリーンには「Abort the Supreme Court」と表示された。ポール・ライアン前下院議長のような右派のファンもいるのだろうが、彼らのためのライブではない(私の近くにいた「I Love Guns, Titties, and Beer」(銃とおっぱいとビールを愛している)シャツを着た男も盛大に楽しんでいたが)。

この日のライブでは、メンバーの誰一人として観客に話しかけたり、自分たちの長い不在に言及したりすることはなかった。ただ、サイレンからターンテーブルまでギターの音を自在に操るトム・モレロは、最後の数曲で「I Love CRT」(Critical Race Theory=批判的人種理論)と書かれたシャツを着用し、スクリーンには「Abort the Supreme Court」(最高裁を廃止せよ、中絶権違憲判断への批判)と表示された。ポール・ライアン前下院議長のような右派のファンもいるのだろうが、彼らのためのライブではないことは明白だ(私の近くにいた「I Love Guns, Titties, and Beer」シャツを着た男も盛大に楽しんでいたが……)。



レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンには、アメリカ人がその革命的なメッセージに対して最もオープンでない時にだけ活動するという奇妙な癖があった。1991年〜2000年までの最初の活動は、ビル・クリントンが大統領を務め、経済は好調で、国の右傾化がほとんどのアメリカ人には見えてなかった、冷戦後〜9.11以前の時期とほぼ完全に一致している。その後、オバマの時代の幕開けに、束の間の楽観主義のなかで戻ってきた彼らは、トランプがエスカレーターを降りてきて大統領選に出馬するまでの4年間に演奏し続けてきた。

言い換えれば、彼らは本当に、本当に長いあいだ、人々が怒り狂う(rage against)瞬間を見逃してきたわけだ。今回はようやくタイミングが合ったので、この再結成ツアーより長く続くことを祈ろう。これからの数年間は、おそらく本当にひどいことになる。それを乗り切るためにも彼らが必要なのだ。

From Rolling Stone US.

Translated by Rolling Stone Japan

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