小田和正が追求する音楽の普遍性、オフコース時代から現在までを辿る

小田和正

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2022年6月の特集は「小田和正」。2022年6月15日に発売になる新アルバム『early summer 2022』を中心に、小田和正の歴史を辿る。パート4はオフコースの楽曲から現在の小田和正まで、その音楽や歴史を紐解いていく。

田家秀樹:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのはオフコースの1982年の曲「NEXTのテーマ -僕等がいた-」です。彼らが制作したテレビ番組「NEXT」のテーマ曲でした。今週の前テーマはこの曲です。

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NEXTのテーマ -僕等がいた- / オフコース

今月2022年6月の特集は「小田和正」。新作アルバム『early summer 2022』8年振りのアルバムですね。このアルバムを中心に小田さんのこれまで、そしてこれからをいろいろと検証してみようという1ヶ月です。小田さんと近しい関係者の方がこのアルバムをどう受け止めているかということで、先週まで3週お送りしてきました。今週はパート4です。最後はどういう締めくくりにしようか、いろいろ考えたわけですが、今日は私1人でお送りしようと思っているんですね。今までのくくり方で言うと、1番年齢が近い取材者となりますね。小田さんと1つしか歳が違わないわけですし、70年代から見ている一人として、自分の番組で小田さんの特集をするのは、ひょっとしたらこれが最後になるかもしれないなという気持ちが強くあるんです。

小田さんは自分から引退宣言はしない人だと思うのですが、彼も今回のアルバムが8年振りだし、全国ツアーは3年振りだし、そういうローテーションで考えると、ひょっとしてということもありえるわけで。今日、なぜ「NEXTのテーマ -僕等がいた-」で始めたか。これは5人のオフコースの最後のライブ、1982年6月武道館10日間の後に放送されたテレビ番組「NEXT」のテーマですね。歌詞にあるように「僕等の終わりは僕等が終わる。誰もそれは語れはしないだろう」という、自分たちの終わりに対してとても毅然とした姿勢がありました。〈他人の手は煩わせない〉とか〈誰にも分かってもらおうと思わない〉みたいなことが1982年の彼らだった。40年経った今、“終わり方”みたいなことが、小田さん、私も含めてなのですが、なんとなく目の前に見えている中であらためてこの曲で始めようかなと思っての前テーマです。

これだけ時間が経って、今自分たちのこれまでのことをどう思っているか。新作アルバムの中では「ナカマ」もそういう曲でした。つまり小田さんは、僕等という自分たちのチームみたいなことを歌っていた。今日はそのアルバムの中からこちらをお届けしようと思います。40年後のアルバム『early summer 2022』から「坂道を上って」。



田家:この曲について、小田さんはご自分でコメントを出されています。「ドラマが書かせた曲」。ドラマが書かせたとはいえ、若い頃にはこんなふうに思わなかっただろうし、歌えなかったでしょうね。全てが懐かしく思えるようになった。僕らはこうやって大人になっていったんだよねと歌えるのは、時間が経ったから以外の何者でもないですね。「NEXTのテーマ」は1982年です。オフコースが終わるか終わらないか、解散するかしないか噂がある中で作られたドラマで、その主題歌でもあった。この2曲を比べると、40年という時間がどういうものなのかちょっと感じられたりするのではないでしょうか。

Rolling Stone Japan 編集部

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