小田和正が追求する音楽の普遍性、オフコース時代から現在までを辿る



田家:今月小田和正特集の最後、今日の7曲目オフコースの1988年「君住む街へ」。1988年のアルバム『Still a long way to go』の中の曲です。歌っているのは当時のオフコースメンバー4人。小田さんを1番取材していた時期があって、それがこの4人のオフコースのときだと思うんですね。1987年に『as close as possible』というアルバムが出た。そのアルバムを携えたツアーの同行写真集というのがあったんです。全国69本のツアー。それの同行取材をしたんですね。レポートは原稿用紙100枚ぐらいだったかな、結構長いんですけど、それを写真集につけたんです。ツアー中に作り始めて、最後に武道館が8本あったんですけど、その客出しで流れたのが「君住む街へ」ですね。そして、オフコース最後のアルバム『Still a long way to go』の中にも入っておりました。最後のツアーの最後の曲がこれだったんですね。102本のツアーでしたね。そのツアーもかなり行きました。解散発表はそのツアー中に聞いたと思います。佐世保だったと思うな。

そのツアーで使われていた映像が中学生が登場する映像だったんですよ。北海道の帯広で撮影されたらしいんですけど、その中学生の笑顔があまりにも良くて、この曲の映像で何度も泣きましたね。小田さんのツアーの映像と言うと、1982年6月武道館で使われた「言葉にできない」。あそこでひまわりの映像が使われましたけども、コンサートと映像ということでもオフコース、小田さんはパイオニアでありました。当時中学生だった人たちが今も支えているんですね。コンサート会場にその頃の中学生がいらっしゃるんでしょう。そんなことを思いながら今日最後の曲を小田和正さんのバージョンで「君住む街へ」。



あ、小田さん変わったなと思ったのが、10数年前でしょうかね。もうちょっと前かな。ライブの後にゲスト挨拶がありますよね。ちょっと広い楽屋でご本人も出てきて、今日はありがとうございましたと、関係者も含めてゲストの人と挨拶をする。そのときに小田さんが全員と写真を撮るようになったんです。かなりの人数がいますけども、全員と2ショット写真を撮る。2時間半歌った後ですからね。それを見ていて、自分の役割みたいなことをここまで考えるようになったんだと思ったんです。無私って言葉があります。私が無い。つまり、みんなが喜んでくれるんだったら、みんなのためになるんだったら俺は出来るだけのことをやるよ。そういう心境になったんだなと思ったことがありました。自分の歌が何のためにあるのか。「君住む街へ」は今もライブで重要な曲です。そういう歌のようにあらためて思いました。

Rolling Stone Japan 編集部

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