ここ4年間活動を休止していたが、昨年11月に25周年を迎えたフィッシュ。この作品は、そんな彼らの再結成アルバムでもある。しかし、お祝いムードのなかにもところどころ反省と後悔がうかがえるが、その要素こそ、『Joy』の真髄。休止期間中に薬物所持で逮捕されたトレイ・アナスタシオの、内省的な気持ちが盛り込まれているのだ。「僕はできる限りの手をつくした、たぶん」と歌うタイトル曲では、自分のふがいなさを認めている。ウキウキするような「トウェンティー・イヤーズ・レイター」では、何年にもわたりハメをはずしてきたのに、いまだ自分は「逆さまでちぐはぐ」と歌う。2本のギターでソロが繰り広げられる「バックワーズ・ダウン・ザ・ナンバー・ライン」では、ジェリー・ガルシアに敬意を示した。インパクトは健在で、ファンへの思いやりが詰まっている。もし本作に満足しないのであれば、バンドを好きになることは決してないだろう。この作品でいちばん素晴らしいのは、彼らが心底楽しんでいる点。なんとも喜ばしい帰還だ。

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