私立恵比寿中学、10周年ツアーファイナルで見せた「今が最高」の理由

私立恵比寿中学「10th Anniversary Tour 2022~drawer~」(©スターダストプロモーション)

7月9日、私立恵比寿中学「10th Anniversary Tour 2022~drawer~」がついに渋谷LINE CUBE SHIBUYAにて最終公演を迎えた。本ツアーは9人体制になって初のツアー。しかし順風満帆とはいかなかった。メンバーのコロナ感染のため、初日と2日目の東京公演が延期されることになったり、真山りかが声帯の不調を訴え、数公演を別録りの歌唱で対応したり、不安になる場面もあった。しかし、全員で迎えたツアーファイナルでは9人それぞれが最高のパフォーマンスを見せたのだった。

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個人的な話になるが、自分は本公演をチケットを買って観に行った(ちなみに、座席は1階25列だった)。取材のためではなかったのである。しかし、3時間近くに及んだこの素晴らしいライブの模様を自分の言葉で伝えたいと思い、編集部にかけあってこうして記事が掲載されることになった。

「ebiture」とともにメンバーがステージに登場し、最初に披露したのは「全力☆ランナー」。そして、「シンガロン・シンガソン」と続く。今回のツアーは、<私立恵比寿美術館>に飾られた絵画の額縁内に収められたエビ中のアルバムのジャケットからレコードが現れ、<NOW PLAYING>という表示とともに楽曲が始まるという演出が主に前半戦のメインとなっている。





個人的に9人体制のフルライブを観るのはこれが3回目だが、回を重ねるたびに全体が美しく調和している。一番大きな要因は、新メンバー桜木心菜、小久保柚乃、風見和香の成長である。まず、3人とも歌が上手くなった。3人のなかで最も歌唱力があった風見はより一層のびのびと表現するようになり、桜木と小久保も別人かと思うぐらい技術が身についた。桜木は低音が豊かで、小久保は柔らかくて素朴な歌声が素敵だ。ほかの誰かのような歌を目指すのではなく、あくまでも自分の持ち味を伸ばす姿勢がエビ中らしい。もちろん、伸びしろはまだまだたっぷりあるが、6人の先輩メンバーと堂々と渡り合っている姿は頼もしい。ちなみに、「仮契約のシンデレラ」では最初のセリフパートを新メンバーの3人が受け継いだ。それだけで曲が若返った気がするんだから面白い。



歌だけでなく、ダンスもいい。エビ中の衣装は基本的に布の量が多く、その分ダンスのキレというものが見せづらく、どちらかというとふんわりとした動きに見えがちだ。しかし、「シンガロン・シンガソン」はイントロから9人の揃いっぷりが美しかった。フリが揃うというのはメンバーの数が多ければ多いほど見栄えがいい。エビ中はどちらかというと緻密さよりも個性を大事にしているグループだと思っているが、要所々々でビッと揃う。軽やかな動きが目立つが、だからこそ9人が揃うと一瞬時が止まっているように感じる。これは一体なんだろうか。目だけでも楽しめるパフォーマンス。かつてのわちゃわちゃ感とは異なる楽しさだ。エビ中のライブを観ていてここまでダンスに目を奪われたのは初めてかもしれない。


©スターダストプロモーション

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