30
「Outro: Wings」(2017年)


『WINGS』(2016年)のクロージングを飾る「Interlude: Wings」の完成形である「Outro: Wings」は、BTSのキャリアの重大な転換期として幅広く認識されている。壮大なEDMビートにのせてメンバーが口にする“広げるんだ、僕の翼を”という言葉は、その数年後、世界中のアリーナやスタジアムに響きわたった。約束に満ちたこの曲は、誰よりも高い場所を飛ぼうと、当時からすでに空の高みを目指していたBTSからのメッセージだ。—N.M.

29
「Intro: Persona」(2019年)


2014年リリースのミニアルバム『Skool Luv Affair』のオープニング曲「Intro: Skool Luv Affair」(サンプリングにダスト・ブラザーズを再解釈したようなビートを使用)でラップモンスターことRMは、J-HOPEとSUGAに“お前はいつも前向きに生きてきたのか? これはバンタンスタイルなんかじゃない(中略)ヒップホップこそがバンタンスタイルだ”と助言した。アイドルにとって5年は果てしなく長い歳月かもしれないが、2019年のRMはラップのマスタービルダーとして成長を遂げていた。それでも無慈悲なまでに内省的なBTSきってのヒップホップ曲「Intro: Persona」では、彼のアイデンティティは終始崩壊寸前だ。—C.A.

28
「FAKE LOVE」(2018年)


いたるところに散りばめられたロックギターをはじめ、曲の魅力をさらに引き立てる目眩くシンセサイザーのサウンドとともに繰り出される『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』(2018年)のリード曲「FAKE LOVE」でBTSは、その魅力を世に知らしめた。砕け散るガラス、唸りをあげる風、あふれる水、揺らめく炎、そしてお馴染みの華やかなコレオグラフィーなど、「FAKE LOVE」のMVは、見てくれといわんばかりの色彩の大洪水の連続だ。偽りの愛というテーマは、ここでは枠組みにすぎない。この曲の本当の主役は、ドラムのトラップビート、独特の効果音、決定的なフックなのだ。リズミカルな4つの音節で歌われるタイトルは、幾重ものハーモニーの効果を加速させる。さらにBTSは、「FAKE LOVE」でK-POPグループとして初めてビルボードのトップ10入りを果たした。—C.A.

27
「Louder than bombs」(2020年)


クィアなポップアイコン、トロイ・シヴァンとの共作である野心的なバラード「Louder than bombs」は、錯綜する無防備な感情が響く空間を構築しながら、奥行きのあるベース、ドリームポップ的な雰囲気、高揚感あふれるタイトなハーモニーによってリスナーを別世界へと誘う。ラッパーたちによる弱さの告白と苦悩に満ちた抵抗が反響するなか(SUGAは、こうした苦しみに対して怒りをむき出しにする)、失恋、孤立、自己主張などの曲中で語られるライフステージはどれも同じ急展開を迎える。誰もが直面する絶望の波を受け入れつつも、最後のコーラスでは戦い、永遠に歌いつづけることを誓う。—C.A.

26
「EPILOGUE: Young Forever」(2016年)


『花様年華 Young Forever』(2016年)から先行リリースされたアンセムソング風の「EPILOGUE: Young Forever」がBTSの精神を体現している理由は無数にある。この曲は、青春と絆を称える祝祭であると同時に、グループとファンの絆を象徴する正真正銘の「ファンソング」第1作なのだ。さらには、RMがプロデューサーとして初めてクレジットされた曲でもある。ハードなラップから豊かなボーカルへと展開する「EPILOGUE: Young Forever」では、哀愁を帯びていながらも勝利に満ちたBTSの姿が描かれている。“永遠のオーディエンスなんていなくても、僕は歌う”とJ-HOPEは誇らしげに歌う。“僕は永遠にいまの僕であり続けたい——僕はいつまでも少年でいたい”。—N.M.

Translated by Shoko Natori

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