25
「Serendipity (Full Length Edition)」(2018年)


もっとも繊細な低音ボイスが歌う、もっとも繊細なラブソング。この世のものとは思えない幽玄な「Serendipity」には、“ただ僕に君を愛させて”というひとつの願いだけが込められている。この曲でJIMINは、宇宙の広大さと嬉しい偶然の美しさに驚嘆する。さらには、“君は僕を救ってくれたペニシリン”や“僕は君に会いにきた三毛猫”といった魅惑的なメタファーを駆使しながら、自らの感情を紐解いてゆく。未来は不確かなことであふれているけれど、確かに私たちはここにいる——そんなことを教えてくれる曲だ。—N.M.

24
「Butterfly」(2015年)


深く息を吸いこむと、JUNG KOOKは囁くように“何もせずにいまは、言葉もいらないから/笑顔見せてよ”と歌う。控えめなギターの音色が優しく波打つ海のようにメロディーを包むなか、ボーカリストたちは蝶のように脆く繊細な存在を失うことの恐怖を歌う。蝶がカラフルな羽を広げて飛び立つように、オーケストラの演奏にのせてコーラスがあふれ出す瞬間、「Butterfly」の真の美しさが明らかになる。—N.M.

23
「Euphoria」(2018年)


きらびやかなシンセサイザーと無重力のように軽いパーカッションが、間近に迫った幸福なドーパミンの大量放出を予感させるJUNG KOOKのソロ曲「Euphoria」。あらゆるデジタルフィルターやイコライジングによって、何かを切望するようなJUNG KOOKの情感のこもった声——大人でも子どもでもない、無限の可能性を秘めた声——がむきだしになっている。予想外であると同時にきわめてリアルな「Euphoria」は、メンバーのソロ曲のなかでももっとも人気の曲。—C.A.

22
「BTS Cypher Pt.2: Triptych」(2014年)


RM、SUGA、J-HOPEによるCypherシリーズ2作目。「BTS Cypher Pt.2: Triptych」で3人のラッパーは、激しくも痛快な方法で彼らの名声を傷つけることに常に躍起なヒップホップコミュニティの批判に立ち向かう。“俺たちは7匹の狼、喝采という羊を導く”と悪戯っぽくラップするJ-HOPEのアイコニックなオープニングがヒップホップらしい雰囲気を醸し出す一方、突如としてビートは高速ギアに入り、素早いラップが繰り出される。“プライドやおかしな信念に盲目的に従う先輩ども、奴らは俺のエイトバーに面食らう”とRMはラップする。“頑固で説教好きの、肩凝りもちの古株ラッパーを見ろ/お前らがアンダーグラウンドでプレイする時、BTSは地上でプレイする”とSUGAが言い放つ。—N.M.

21
「MIC Drop」(2017年)


『エレンの部屋』、『ジミー・キンメル・ライブ!』、『ジェームズ・コーデンショー』、『サタデー・ナイト・ライブ』といった米人気トーク番組や音楽祭・ジングルボールをはじめ、「MIC Drop」が数多くの場面で披露されてきたことには理由がある。もともとは『LOVE YOURSELF 承 ‘Her‘』(2017年)の収録曲としてリリースされたこの曲は、世界的DJのスティーヴ・アオキによってリミックスされた。RMとJ-HOPEの共作の歌詞は、BTSの実力を疑った人々向けられたメッセージであり、類を見ない世界的な成功に言及している。「MIC Drop」は、コンサートでは圧巻のダンスブレイクとともに披露される。そのなかでも、メンバーがオーダーメイドのディオールのスーツで踊るバージョンは秀逸だ。—K.K.

Translated by Shoko Natori

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