20
「Pied Piper」(2017年)


BTSのディスコグラフィーのなかでももっとも大胆でコンセプチュアルな動きを描いた「Pied Piper」は、懺悔から自責、さらにはポップスならではの華麗な誘惑のルーティーンの発動へとシフトする(“僕は君の後ろめたい喜び/絶対に君は逃れられない”)。この曲の歌詞は、不健全なまでにBTSに執着するファンに向けられた叱責という、思いもよらないメッセージを隠そうともしない。同じメロディーを繰り返しては(BTSの常套手段)、過剰なまでのコーラス的なエフェクトを叶えるためにボーカルトラックを重ねる手法は、「Pied Piper」の中毒性を強化している。まずはJUNG KOOKが、続いてJINが“君を救いにきた/君をダメにしにきた”と歌うパートは、パワフルでありながらも不穏なポップスターの現実を表している。—C.A.

19
「Boy In Luv」(2014年)


「Boy In Luv」の魅力は、BTSの怒りの慎み深さにある。“まったく変わらないプロフィール写真を、どうして僕はしきりにチェックするんだ?”とJ-HOPEはラップする。そこに同曲のMVで繰り広げられるメロドラマ風の演技と開放的なロックのリフレインを合わせれば、科学の授業中にスニーカーに落書きをしていた中学生時代にあなたをタイムトリップさせる、青春時代の恋の一大サーガの完成だ。—N.M.

18
「Magic Shop」(2018年)


ARMYのためにつくられた特別なトラック「Magic Shop」。懺悔と告白が織りなすこの曲は、ジェームズ・ドゥティの著書『スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック』(2016年)からインスパイアされている。JUNG KOOKがプロデュースした「Magic Shop」は、メンバーのヴァースごとに巧みにムードを変え、共感を誘う呪文のようなフルコーラスに向かってゆっくりと盛り上がっては、リスナーを陶然とさせる。—C.A.

17
「2!3!」(2016年)


何よりもまず、「2!3!」はひとつの約束である。『WINGS』(2016年)の外伝として位置づけられる『YOU NEVER WALK ALONE』(2016年)に収録されているこのメロウな曲でメンバーは、たとえどんな困難に直面しても、BTSに慰めを見出し、ともに明るい未来を思い描くことができると力説する。大切なのは、目を閉じて「1、2、3」と数え、辛い過去を忘れること。“花咲く道だけを一緒に歩こう”とRMは歌う。—N.M.

16
「UGH!」(2020年)


「UGH!」でBTSのラップラインは、過去にラップしたもっともアグレッシヴなビートのさらに上をいった(プロデューサーのPdoggに拍手)。この曲は、米ヒップホップグループ、スリー・6・マフィアの「Tear Da Club Up」、あるいはクライム・モブの「Knuck If You Buck」のアンサーソングだ。荒々しくて攻撃的で発作的なコーラスに身を任せるうちに——タイトルの「UGH」の発音は、韓国語で突発的な怒りを表す言葉と似ている——SUGA、RM、J-HOPEはインターネットにおける怒りの役割をさらに掘り下げる。—C.A.

Translated by Shoko Natori

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE