15
「Just One Day」(2014年)


「No More Dream」、「We are bulletproof PT2.」、「N.O」といったハードなヒップホップトラックを3曲リリースすると、BTSはボーカルラインの甘さを際立たせるソフトで優しいR&Bトラックで速度を緩めた。「Just One Day」でBTSは、愛する人と過ごす最高の一日を夢想する。“咲いて散る、まるで朝顔のStory”とRMが力説する。完全にオフの日がない忙しい人にとってはほろ苦い白昼夢だが、そこに没頭して我を忘れることには一種の美しさがある。—N.M.

14
「Paradise」(2018年)


表面上は2000年代の優美なR&Bだが、そこに控えめでありながらも強力なメッセージが込められた「Paradise」。この曲は、2018年の新年のメッセージ動画に登場したSUGAの言葉に由来する。ファンたちの願いが叶うことを祈ると、SUGAは「夢をもっていなくても大丈夫」と言い添えた。きわめてBTSらしい自己肯定的な感情が注がれた結果、JIMINによる渾身の甘い歌声が美しい、一度聴いたら忘れられない感動的なコーラス(“夢がなくても大丈夫”の部分)に仕上がっている。—C.A.

13
「Dis-ease」(2020年)


パンデミックのピーク期にリリースされたBTSの5作目のアルバム『BE』(2020年)。このアルバムは、強烈なバーンアウトを連れてきた。収録曲「Dis-ease」は、ニューヨークのブルックリン出身のプロデューサー・デュオ、ブラストラックスのバウンシーでオールドスクールなヒップホップビートとBTSの巧みな言葉遊び(仕事を意味する韓国語の「일」は、病気という意味の英語「ill」の発音に似ている)を駆使して、誰もが感じていた重たい疲弊感に立ち向かった。だが、いよいよフラストレーションが頂点に達すると、陽気で騒がしいファイナルドロップという、本物のカタルシスで幕を閉じる。—N.M

12
「RUN」(2015年)


EDMポップ満載の「I NEED U」(韓国の音楽番組で初めて1位を獲得)に次ぐ形でリリースされた「RUN」は、ほろ苦さと激しい感情が入り混じった曲だ。スタイリッシュで都会的なジャズブルースのメロディーは、本物のソウルメイトとの出会いによる燃えるような痛みを語ったRMとSUGAの現実的なラップに取って代わる。そこにV、JUNG KOOK、JIMINが加わると、興奮していながらも受け入れようとする彼らの声(“運命に嫌われても”の部分)にのって曲は滑らかに進んでいく。その間、共感を誘うエネルギーが消えることはない。若くて恋に盲目になっている状態は、傷やあざだらけの足で走ることに似ている。倒れて叫ぶかもしれない。それは無謀で馬鹿げた幻想かもしれない。それでも、立ち止まらずに走りつづけなければいけない。—C.A.

11
「Boyz with Fun」(2015年)


2015年リリースの賑やかな「Boyz with Fun」で防弾少年団の面々は、楽しいことが大好きな「フンタン少年団」という、グルーヴィーでアップテンポな別のペルソナを私たちに見せてくれた。“さあ来たぜ、フンタン少年団”と、彼らはリズミカルなアカペラで叫ぶ。コール&レスポンス、機知に富むワードプレイ、半ば即興的なブリッジが散りばめられたファンキーなこの曲は、最高潮に盛り上がったパーティーのようだ。7人が自由奔放なヒップホップのルーツからより誠実なポップ・ミュージックへとシフトしていた時期にリリースされた「Boyz with Fun」は、BTSが自由な少年の心をいつまでも持ちつづけていることを私たちに思い出させてくれる。—N.M.

Translated by Shoko Natori

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