65
「00:00 (Zero O’Clock)」(2020年)


「00:00 (Zero O’Clock)」は、スランプから抜け出そうと奮闘する人々に向けられた優しい応援歌。過ぎゆく時間にインスパイアされたこの曲は、人生がいい日と悪い日の繰り返しであることを合理的に説明する。BTSは、幸福と希望に向かうためのセカンドチャンスというコンセプトを伝えようとしている。時計の針が「00:00」を打つと同時にリセットされるように、あなたも新たなスタートを切ることができると。心温まるメッセージは、かすれ声が特徴的なJUNG KOOK、JIMIN、JIN、Vのボーカルラインによって見事に表現されている。—D.D.

64
「Attack on Bangtan」(2013年)


「Attack On Bangtan」の冒頭で放たれる“防弾少年団が進撃したらどうなる?”という問いかけは、BTSがデビューした2013年当時は、大袈裟な仮説のように思われた。タイトルがややミスリードなラップ満載の「Attack On Bangtan」は(訳注:日本では「進撃の防弾」というタイトルで知られているが、英語のタイトルを直訳すると「攻撃された防弾」と受動的な意味になるため)、助けを求める被害者の叫びというよりは、士気を高める鬨(とき)の声に近い。“俺たちが頂点を極めるのは時間の問題”という歌詞は、音楽業界のトップに君臨するまでは絶対に止まらないという決意表明でもある。冒頭の問いかけの答えが数年後に明らかになるとは(実際、BTSは満足のいく答えを得た)、当時の彼らは知る由もなかっただろう。いま聴いても、闘志をみなぎらせて戦いに挑む彼らの歌声にはワクワクさせられる。—N.M.

63
「Stay」(2020年)


ダンス・ポップトラック「Stay」は、コンサート会場にいる観客を総立ちにするためにつくられた曲だ。だが、あいにくコロナ下でのリリースとなったため、ファンにとってはベッドルームがコンサート会場のフロアになった。7人組の7作目のミニアルバム『BE』(2020)の7曲目を飾るこのトラックは(こうした数字のディテールは重要)、私たちがもっとも孤立感を抱いていた時期にもたらされた愛と絆の告白だ。『BE』のグローバル記者会見の際、JUNG KOOKは「Stay」というタイトルに込められた意味を「いまは離れ離れですが、僕たちはどんな時も一緒だということです」と解説した。—N.M.

62
「My Universe」BTS x Coldplay (2021年)


最高の方法でコールドプレイをプレッシャーから解放したBTSとのコラボ曲「My Universe」。この曲は、全米チャートで初登場1位に輝いた。BTSにとっては、初登場1位を獲得した通算6曲目だ。素晴らしいコラボレーションの多くがそうであるように、「My Universe」誕生のきっかけは、BTSの公式YouTubeチャンネルのオリジナルコンテンツ『RELEASED』での共演だった。動画のなかでコールドプレイのクリス・マーティンは、BTSの#PermissionToDanceチャレンジに挑戦した。コールドプレイとBTSが奏でるサウンドとは、いったいどんなものだろう? BTSによる「Fix You」のカバー(2021年の『MTV Unplugged』をチェック)のポップ・ディスコ風のアレンジと最高にクールなボーカルのブレイクダウンを想像してほしい。29名のコラボレーターのなかでも、共同プロデューサーを務めたもうひとりのマーティンことマックス・マーティンにとびきり大きな拍手を送りたい。—C.A.

61
「Telepathy」(2020年)


『BE』(2020年)の序盤のトラックがパンデミックの恐怖や孤立を歌う一方、リスナーを別世界に誘う80年代のポップ・ファンク風の「Telepathy」は、アウトドア用のラウンジチェアでゆったりとくつろぐブルーノ・マーズを彷彿とさせる。もともとはSUGAが作曲し、RMとJ-HOPEによって若干手が加えられたARMYのための命綱のようなこの曲の特徴は、ベースラインのループ、華やかなカウベル、遊び心あふれるオートチューン加工されたボーカルにある。SUGAとJ-HOPEのパートはラップというよりも歌のようで、JUNG KOOKとVの弾んだボーカルはラップのようだ。JUNG KOOKとVがシンプルに言っているように、“たとえ君のそばにいなくても/僕らが一緒だってことは君もわかってる”。—C.A.

Translated by Shoko Natori

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE