セントラルパーク・ジョガー事件の知られざる共同被告、有罪撤回へ 米

2002年7月25日、法廷でのスティーヴン・ロペス氏(Photo by Steven Hirsch/AP Photo)

1989年、米ニューヨークのセントラルパークをジョギング中だった銀行勤務の白人女性がレイプされ意識不明で発見された事件、通称「セントラルパーク・ジョガー事件」の共同被告、スティーヴ・ロペスさんが同事件に関連した強盗罪での有罪判決を撤回された。現地時間25日、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

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「セントラルパーク・ジョガー事件」では、14歳から16歳の黒人やヒスパニックの少年たち5人が逮捕され、7年から11年の実刑判決を受けた。彼らが逮捕・起訴された時、ロペスさんは15歳だった。5人組(セントラルパーク・ファイブ)と同様ロペスさんも1989年4月に逮捕され、20時間近くも留置所に監禁された。その間、公園で発生した様々な事件について尋問を受けた。当時警察の尋問を受けた10代の若者たちは、これらの事件の責任を仲間になすりつけるよう警察から強要されたと非難している。中には、ジョギングしていた男女を襲ったのはロペスさんだと供述した者もいた。

ロペスさんは検事との司法取引に応じ、レイプでの起訴を免れる代わりに、ジョギングしていた別の男性の強盗事件で有罪を認めた。ロペスさんは3年以上服役したが、有罪判決に対して控訴することはなかった。一方、5人組は1990年に個別に裁判を受けて有罪判決を受け、その後12年間服役した。最終的には証拠のDNAから、それまで起訴されていなかった容疑者マティアス・レイズが被害者トリーシャ・メイリさんを襲った犯人として浮かび上がった。別の強姦殺人事件で服役していたレイズも犯行を認め、5人組の有罪判決は覆された(のちに5人はニューヨーク市と4100万ドルで和解した)。

以来5人の物語は広く知られるところとなり、警察の不正とアメリカ刑事司法制度の人種差別の最悪な例となったが、事件全体におけるロペスさんの立ち位置が表沙汰にされることはなかった。例をあげれば、彼は先の和解訴訟に加わっていないし、先ごろ公開されたエヴァ・デュヴァネイ監督のミニシリーズ『ボクらを見る目』にもロペスさんの役は出てこない。ロペスさんがマンハッタン地方検事局に有罪判決の撤回を申し立てたのも、つい2月のことだ。



Translated by Akiko Kato

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