正しく吃音について理解する、個を尊重した対応をするために

吃音は、「ここここ、こんにちは」のように言葉のはじめの音を繰り返す「連発」、「こーーんにちは」と音を引き伸ばす「伸発」、言葉が出にくく間が空く「難発」などがあって、滑らかに話せない症状のことです。2〜5歳で発症することが多く、幼児期では8%前後の発症率で、成人期で100人に1人は存在します。ある程度の年齢では常に吃音が生じるわけではなく、普段の会話がスムーズでも、自己紹介や発表など、なんらかの状況の時にすぐ声が出なかったり、声が小さくなってしまったりする、ということもあります。

吃音は大きく「発達性吃音」と「獲得性吃音」の二種類があります。9割が前者で、本人の体質的要因、発達的要因、環境要因が原因ですが、その仕組みについて完全にはわかっていません。しかし、吃音が生じるのは、育て方の問題や本人の努力や性格とは無関係です。急激な言語発達の副産物で、頭の中で急激に増えていく言葉に口がついてこられないことも一因と考えられていて、つまりむしろ言語能力が高いから、とも言えます。後者の「獲得性吃音」は、脳や神経の病気や怪我によるものや、強いトラウマやストレスによって生じたものを指します。

子どもの吃音に対し、良かれと思って話し方のアドバイスを大人がしてしまうことは逆効果になってしまいます。例えば「ゆっくり話してごらん」「落ち着いて話そう」などや、話そうとしていることを先取りして代わりに大人が言ってしまったり、「もう一回(正しく)言ってごらん」と話し直しをさせたりすることです。これらは「あなたの話し方はダメです」と言っているのと同じことになり、本人の「話をしたい」という気持ちに対しマイナスに作用してしまいます。こうしたことや、周囲のからかいなどの心無い否定的な反応によって嫌な体験が積み重なってしまうと、吃音症状が増してしまうことにもつながってしまいます。さらに、人前で話すことや会話することに対して不安感や恐怖心が強くなっていくと、社交不安障害と診断されるような状態にもなりかねません。

Rolling Stone Japan 編集部

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