Kroiが語る、試行錯誤しながら貫く自分たちの活動スタイル

 また、メンバーの中でも人一倍ファッションへの意識が高い長谷部は、50年代から80年代くらいのビンテージウェアに凝っているという。

「今は『リジッドデニム』と呼ばれる、ウォッシュ加工がされていない糊付けされたジーンズにハマっています。今履いているジーンズはKroiの1stアルバム『LENS』をリリースした2021年に購入して、そこから1年くらい洗わずに履き続けているんです。そうすることで、独特の色落ちになっていくんですよ。ジーンズを育てていくような感覚というか」

「俺は曲作りに煮詰まると、気晴らしによく行くのが商業施設にあるオモチャ売り場です。100円で1枚出てくるカードゲームとか、気が済むまで遊んだら家に戻ってまたひたすら曲を書く……ということをやっていますね(笑)」(内田)

 自分たちの「こだわり」について、タバコを吸いながら楽しそうに語り合う5人。実はメンバーだけでなく、スタッフもほぼ愛煙家だという。そのため打ち上げや打ち合わせの時など、場所を押さえるだけでも一苦労。普段から喫煙可のお店やスポットなどの情報交換は頻繁に行っている。

「現場で誰かが『ちょっと一服』と切り出すと、その場にいた全員があとに続くという(笑)。でもタバコを吸うことで一度頭をリセットさせたり、そこで交わされる雑談から新たなアイデアが生まれたり、いいことばかりなんですよ」

 ちなみに関と益田と内田はキャメルのメンソールライト、長谷部はハイライトのメンソール、千葉はWinston(キャスター)1mmロングを愛用中。そしてタバコとともに欠かせないのがコーヒーだ。

「俺たち、コーヒーもめちゃくちゃ飲みますよ。コンビニとかでペットボトルのコーヒーが売っているじゃないですか。スタッフさんは分かってくださっているので、ケータリングとして10本とかまとめ買いしておいてくださっていて。あっという間に空けてしまってますね(笑)」(関)

 インドア派のKroiだが、アルコールもほとんど飲まない。

「唯一飲むのが悠生ですね。酔っ払ってくると、目がバキバキになってる」(関)

「もともとビールが大好きだったんですけど、最近はダイエットも兼ねてハイボールに替えました。しかもウィスキーと炭酸水を買って、自分で割って飲んでいますね。おうち時間が長かった時は、ウィスキーの銘柄をいろいろ試したんです。その結果、サントリーの『山崎白秋』を、炭酸水と1:3で割って飲むのが一番美味しいことに気付きました(笑)」(長谷部)

 そんなKroiが5月にデジタルリリースした「Pixie」は、国際ファッション専門職大学のTVCM曲として書き下ろされた曲。クリエーターを目指す人たちに向けた、彼らなりの応援ソングだという。

「モノ作りのとき、何もないところから着想を得るのはどこか『妖精を追い求めている行為』に近いんじゃないかと思っていて」

 ピクシー(妖精)と名付けられたこの曲のテーマについて、そう明かす内田。「さっき『気晴らしにおもちゃ屋へ行く』と言いましたけど、そこで子供の頃にハマっていたカードゲームで遊ぶのは、当時の気持ちに戻りたいというか。非日常が欲しくなっているからだと思うんですよね」



 思い返してみれば、ザ・ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーも幼少期のインスピレーションをもとに、それぞれ「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」という名曲を生み出した。ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンも、「神に捧げるティーンエイジ・シンフォニー」をコンセプトにあの『Pet Sounds』を作り上げている。自身のインナーチャイルドと向き合うことは、クリエイティブにおいて最も重要なプロセスの一つであることは間違いない。

 コロナ禍の直前に今のメンバーとなり、試行錯誤を繰り返しながらもメジャーデビューを果たすなど一定の成果を上げてきたKroi。彼らは今、どんな未来を見据えているのだろうか。メンバーを代表し、最後に関が心強い言葉を発してくれた。

「ありがたいことに、2ndアルバム『telegraph』を今夏にリリースすることが決定し、それに伴い初の全国ツアー『Kroi Live Tour 2022 "BROADCAST"』を行う予定です。コロナ禍とはいえ、その中で俺たちはやれることを模索して、やれるだけのことはやってきたし、そこで着実にステップアップしてきた自負はある。その結果が今年のアルバムリリースにつながっていると思うんです。なので、今後もメンバーだけじゃなくてスタッフ陣も含め、全員で試行錯誤しながら面白おかしく自分たちの活動スタイルを貫きたい。そうすれば今後もさらに飛躍できるんじゃないかなと思っています。これからのKroiも楽しみにしていてほしいですね」


Kroi
R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華した音楽性を提示する5人組バンド。2021年6月、ポニーキャニオン内のレーベルIRORI Recordsからメジャー1stアルバム『LENS』を発表。2022年夏、2ndアルバム『telegraph』をリリース予定。


『Pixie』
Kroi

ポニーキャニオン
配信中
https://lnk.to/pixie


無料配信ライブの開催が決定!
Kroi FREE LIVE「TAKE OFF」

2022年8月12日(金)19時30分開演
“Kroi FREE LIVE「TAKE OFF」@ Zepp Haneda”


ロケ地協力:DJ Bar 東間屋

Photo = Tim Gallo / Hair and Make-up = Megumi Ochi

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