八神純子、11分17秒の楽曲からエロティックな曲まで最新アルバムを紐解く

負けないわ / 八神純子

八神:アメリカに親友がいて、悩み事を打ち明け合って「今こんなんだけど、クリスマスまでには笑っているよね」というのが合言葉になっているんです。彼女と会うとすごく元気になる。この曲がみなさんにとって、聴くと元気になる曲だったらいいなと思ったんです。なので、「クリスマスまでには私たちきっと笑っているね」という歌詞を最後英語で入れておいたんですけども。

田家:これはコロナになってからお書きになったんですか?

八神:そうです。アルバムの中でも最後の方に書いた曲です。

田家:でも1曲目にしている。

八神:すごくキャッチーですし、仕事前、出かけるときに聴くというメールもたくさんいただいていて、うれしいです。ずっと〈負けないわ〉って歌っているんですけど、んーって唇を結んで我慢している自分たちがいると思うので。コロナだけに限らず、我慢をすると、息を呼吸もしないで我慢するじゃないですか。それを解放してくださいという意味で、ん~負けないわ~♪という(笑)。

田家:溜まっていたものを吐き出そうという歌でもあります。復帰後1枚目が『Here I am』、2枚目が『There you are』で3枚目が『TERRA ~ here we will stay』。weになりましたね。

八神:私1人だけじゃなくて、スタッフ、バンド、ファンのみなさんと一緒に駆け抜けてきた10年、思い切りほぼ立ち止まらず走り抜けてきたのでweなんです。

田家:タイトルにTERRAという言葉があって、さっき純子さんがおっしゃいましたけどもその言葉があったから生まれてきた曲。11分17秒。初めて聴いたとき、渡米前にお書きになった「Mr.ブルー ~私の地球~」の現在編みたいな気がしたんですよ。

八神:私たちの意識の中にも、「Mr.ブルー ~私の地球~」を今書いたらどうなんだろうということもたしかにありました。20代の頃にNHK番組「パノラマ 太陽系」のテーマになって、歌っていた頃、地球は永遠の星であると思っていたんですけれども、科学者の方たちはこういう将来を見据えて既に何かスタートしていたのかもしれない。それから30~40年経ってみたら、TERRAという地球はいろいろな問題を抱えて、あとどれくらいこの状況を保つことができるんだろう、Uターンしないととんでもないことになると、今叫ばれていますよね。みんなで手を繋いで乗り越えていかなければいけない問題ばかり。地球は1つ。そういうときなので、『TERRA ~ here we will stay』というタイトルにしてアルバムを作ってみたんですね。カバーも、ジャケットも北海道帯広のハルニレの木前で撮って。私が顔を出していない写真は初めてなんです。この地球上で人間が謙虚な気持ちで存在させてもらっていることを忘れないでいたい気持ちで、私はシルエットで立ちました。

田家:組曲です。「TERRA ~ here we will stay」。

Rolling Stone Japan 編集部

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