終わりを決めるのは私 ~Eclipse~ / 八神純子
田家:肉感的だけど都会的でメランコリック(笑)。
八神:さすが音楽評論家ですね(笑)。
田家:トランペットとサックスは向こうの方なんですね。これいいですね~。
八神:彼らが私の「ヤガマツリ」をいつもやってくれるメンバーなんですけれどもね。
田家:先週おかけした「濡れたテラス」をさらにアップグレードしたみたいな感じですね。このタイトルにいろいろな意味があるんだろうなと思ったりするのですが。
八神:まず月と太陽。普通は太陽が男性、月が女性でというのがよくあるパターンなんですけれども、国によっては逆になったりするんです。この曲では自分が太陽で、愛する人が月になっていて。女性は男性の後をついていくとか、日本での慣習じゃなくて。私が線路を敷きたい気持ちがあるのかな(笑)。
田家:女性が主導権を握っている恋愛みたいな(笑)。
八神:そうそう、だから終わりを決めるのは私! という。自分の人生自分で決めたい気持ちは、ここにも大いに出ているのかもしれないんですね。
田家:自分のキャリアの終わり的なニュアンスはあるんですか?
八神:後付けで今後使わせていただこうかな(笑)。でも、それはないです。キャリアの最後は自分にも分からないですし、ただ生涯現役で歌っていくという心意気だけはあります。
田家:終わりはないかもしれないという歌かもしれませんね(笑)。『TERRA ~ here we will stay』は13曲71分、曲がたくさんできてこうなりましたというアルバムですよね。
八神:そうですね。コロナ禍でアルバムを出す時期がどんどんずれていくんですけれども、時間があるならもっと作ってしまおうと思って、何度もアレンジをやり直しています。「終わりを決めるのは私」というのは、全く違ったアレンジが1つあって。いつかそれを使ってまた違った曲を作ってもいいかなと思っています。
田家:さっき終わりについてお訊きしたのは、当時の資料インタビューの中にこれで最後になってもいいと思って作ったアルバムという発言があったような気がしたので。
八神:これ以上のアルバム作れるのかなという気持ちもすごくあるんですね。
田家:たしかに今まで歌ったことないタイプの曲とか、やったことがないアレンジの曲があったり、総集編っぽい感じがありますもんね。
八神:今、ライブでどんどん歌っているんですけど、続けていくと次のアルバムに繋がっていく感覚が徐々に分かってきています。勇気がいることなんですよね。『There you are』のときにもこれを超えられるかなって思ったんですけど、やはり私たちは音楽をやり続けている限り、そのときを全力でやって進化し続けていくんですよね。それを残していくのがレコーディングであり、みんなで一緒に進化し続けましょうって、私だけじゃなくて聴いている方たちと一緒にという意味で進続けていけたらなと思います。