吉田拓郎の音楽人生の締めくくり方、60代以降の楽曲とともに歩みを探る

吉田拓郎

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2022年8月の特集は「吉田拓郎」。今年でアーティスト活動に終止符を打つと表明した吉田拓郎の軌跡をたどる5週間。パート5では、拓郎の60代以降の楽曲とともに彼の軌跡を辿っていく。

こんばんは。 FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのは、吉田拓郎さんの「アウトロ」。6月に発売になったアルバム『ah-面白かった』の中の曲です。今月の前テーマはこの曲ですね。この曲を聞いていて、1ヶ所だけ謎がありまして。「言葉なんかに 変えてみても 伝わる何かあるじゃない」って歌っているんですね。このニュアンスは何だろう。伝わるものもあると思っているようにも聞ける。でも、こういう話を教えてくれないだろうなと思いながら、この謎が吉田拓郎なんだと思いますね。

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今月2022年8月の特集は吉田拓郎。今週は最終章。60代以降の曲ですね。いつの時代も、その年齢なりの一番自分らしい納得できる姿を求めてきた人。でも、変わっていないこともずっとありまして、何が変わってないかっていうと、歌に対して本当に正直な人。その都度その都度、その時思ってることを歌い切ってる感じがしますね。ですから、ずっとこうやって 聴いてると、それこそ言葉にする必要がないくらいに拓郎さんの気持ちが作品になってるように思えます。60代を迎えたとき、世の中を斜めに見ていた、斜に構えていた70年代の吉田拓郎はもういません。若者文化の騎手がどういう還暦を迎えたのか。今日の1曲目です。先週の1曲目「誕生日」という曲を思い出しながら聞いてください。

いくつになっても happy birthday / 吉田拓郎

先週の1曲目だった「誕生日」、どんな歌詞だったか覚えてらっしゃいますか? 誕生日など「祝ってくれるなよ」と歌っていたわけですが、この「いくつになっても happy birthday」は「人生の主役は君」「元気でいて下さいネ」って歌っている。自分のことというより、みんなのことを思ったりしながら歌ってる。そして、歳をとっていくことを、とても肯定的に捉えている。これは大きい変化だと思いますね。2001年3月発売、21世紀最初のアルバム『こんにちわ』から「いくつになっても happy birthday」お聴きいただきました。

Rolling Stone Japan 編集部

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