「もっとも肥えたクマ」の座をめぐり、不正投票が発覚 米

2018年9月16日、米アラスカ州カトマイ国立公園のブルックス滝でサーモンを狩るグリズリー(ハイイログマ)(Photo by RONALD C. MODRA/GETTY IMAGES)

米アラスカ州のカトマイ国立公園・ブルックス川に生息するグリズリー(ハイイログマ)たちがしのぎを削る、毎年恒例のコンテスト「Fat Bear Week」が今年も開催。「Fat Bear Week」のサイトではトーナメント形式でユーザーが最も太っていると思うクマに投票する。

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インターネットの世界に限って言えば、Fat Bear Weekはもっとも健全で、もっとも無邪気な伝統行事のひとつだ。しかし現地時間16日の準決勝で不正が発覚。ずんぐりむっくりの435番(愛称ホリー)と飛行機のような図体の747番の戦いで、何者かが投票結果を操作しようとしたのだ。カトマイ国立公園はTwitterで、不正投票の試みがあったことを公表した。

ローリングストーン誌に宛てたメールで、国立公園局(NPS)で啓発教育プログラムのマネージャーを務めるアンバー・クラフト氏は事の次第と、熊の民主主義の無事についてさらに詳しく語ってくれた。同氏が明らかにしたところでは、スパム攻撃はホリーを不正に勝たせようとしたものとみられるが、最終的な集計結果により、747番が勝者に決定した。

「747番はこの日ずっと、大量の票を獲得してリードしていました」とクラフト氏。「投票締切まで残り数時間に迫った時、435番のホリーが短時間で9000票も獲得していることに気づきました」。NPSがこれまで行ってきた対決の中でも最速の大逆転だったため、すぐに疑惑の目が向けられた。

クラフト氏が語ったところでは、NPSの協力団体であるマルチメディア野生動物団体「explore.org」により、雪崩のごとく投入された票は「複数のIPアドレスから、数々の偽のアドレスを使って」送信されていたことが判明した。これらのIPアドレスから送信された票をふるいにかけた結果、747番の勝利が確定した(敗れた435番は2019年の王者だった)。さらに詳しく検証したところ、それ以前の対戦では疑わしい動きは見られなかった。現在NPSは「新たなバリアを設置して不正投票を阻止するべく」システムにキャプチャを追加した。

Translated by Akiko Kato

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