ザ・ビートルズ『リボルバー』最大の新発見、ジョンの歌う「イエロー・サブマリン」が意味するもの

ザ・ビートルズ  (C)APPLE CORPS LTD

ザ・ビートルズ(The Beatles)の『リボルバー』スペシャル・エディション(10月28日世界同時リリース)から2曲が先行配信された。そのうちの一つ、「Yellow Submarine (Songwriting Work Tape / Part 1)」が大きな注目を集めている理由とは?

ビートルズの音楽は、他のバンドにはないエモーショナルな力を持っている。1966年の傑作『Revolver』はジョン、ポール、ジョージ、リンゴが手がけた、心に響く瞬間に溢れている。しかし、「イエロー・サブマリン」はそう思われていなかった。実際、この曲は子供向けの陽気なノベルティソングとして、世界中で大切にされてきた。

だからこの曲で、ジョン・レノンがギターをかき鳴らし、悲しいアコースティック・バラードとして歌っているのは、本当にショッキングなことだと言える。10月28日に世界同時発売される『Revolver』スーパー・デラックス・エディションに収録されるこのテイクは、最大の驚きのひとつだ。「イエロー・サブマリン」に感情的な深みを期待した人などいるだろうか?



今回のスーパー・デラックス・エディションに収録されている多くの未発表曲と同様、この「イエロー・サブマリン」もまた、彼らについて知っているつもりになっていたことをすべて考え直させるものだ。『Revolver』でビートルズが自分たちのコンフォートゾーンから飛び出し、どこまでも実験することを望んでいたことのは明らかだ。「このアルバムは全体を通じて、彼らが『よし、今までとまったく違うものにしようぜ 』と言っているような作品だ」と、新バージョンのプロデューサーで、オリジナル・プロデューサー、ジョージ・マーティンの息子であるジャイルズ・マーティンは語る。「これは、すべてを吹き飛ばすニトログリセリンだったんだ」

今回公開された「イエロー・サブマリン」のデモは、ブートレグで世に出たこともなければ、筋金入りのビートルマニアの間でさえ噂になったことはない。ジョンはこの曲を、フォーキーなギターのピッキングに乗せて、“僕が生まれた場所では/誰も気にかけてくれなかった/僕が生まれた名前も/誰も気にかけてくれなかった"と哀愁漂う告白のように歌っている。「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』や「ディア・プルーデンス」「ジュリア」に通じる、幼い頃の辛い思い出を打ち明けているような手触りだ。『ホワイト・アルバム』や『ジョンの魂』に収録されていてもおかしくない。これが「イエロー・サブマリン」だって?

Translated by Rolling Stone Japan

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