Teleがエモーショナルな歌で示した「指針」と「覚悟」

Tele「東京宣言」(Photo by 後藤壮太郎)

11月2日、谷口喜多朗のソロプロジェクト・Teleが初となるワンマンライブを東京キネマ倶楽部で開催した。同会場は喜多朗が以前から「ひとつの目標」として掲げていた場所であり、Teleにとっては東京でのライブ自体この日が初めて。その場に居合わせた誰もがここから始まる物語に大きな期待を抱かざるを得なくなるような、強烈な印象を残すライブだった。

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様々な声による様々な「宣誓」が流れる中、サポートの力毅(ギター)、奥野大樹(キーボード)、森瑞希(ドラム)、森夏彦(ベース)に続いて、最後に喜多朗がステージに姿を現すと、ライブは6月に発表された1stアルバム『NEW BORN GHOST』でもオープニングを飾る「アンダルシア」からスタート。ベースと歌のみで始まり、ブレイクを挟んでバンド全体がアンサンブルを奏で始めたときの、ジッとフロアの一点を見つめるような喜多朗の不敵な佇まいにまず目を奪われる。ギターを弾きながら歌う姿は音源以上にロックな雰囲気を纏い、跳ねるリズムに体を揺らしながら、ときにエモーショナルに歌を届けていく。


Photo by 後藤壮太郎

耳に残る反復フレーズから始まる「バースデイ」では、アウトロで力毅がノイジーなギターソロを弾く一方で、喜多朗とリズム隊の2人がお互いを見合いながらユニゾンのフレーズを弾き、推進力のあるビートとピアノが軽やかな印象を与える「私小説」では、オーディエンスとともに一斉にジャンプ。「夜行バス」まで『NEW BORN GHOST』と同じ曲順で畳み掛けて、Teleのライブの熱量の高さが伝わってくる。

喜多朗が「1・2・3・4!」とカウントを刻むも、何度言ってもバンドがついてこないというシュールな場面から、一度喜多朗がステージから捌けると「Veranda」のリズムがスタート。喜多朗はミュージックビデオで被っていた帽子姿で再登場し、オーディエンスにクラップを求め、今度こそ「1・2・3・4!」のカウントから曲が始まっていく。この「Veranda」をはじめ、Teleの楽曲には派手なコーラスの入っている曲が多く、どこかミュージカルのような印象を受けたりもするが、この寸劇のようなやりとりはTeleのユーモアを感じさせた。

「誰も愛せない人」に続いて披露されたのは、ストリーミングで高い再生回数を記録し、現在のTeleの代表曲と言ってもいいであろうポップナンバー「花瓶」。敬愛するアーティストへのオマージュをサンプリングのように散りばめたこの曲をTeleはハンドマイクで歌い、身振り手振りを交えながらステップを踏むステージングはすでに絵になっていて、まだ4回目のライブとは思えないほど、フロントマンとしての高い資質を感じさせる。中盤に出てくるメンバーとの合唱も楽しい“花瓶”に大きな拍手が贈られると、喜多朗がステージに一人残り、弾き語りで「クレイ」を演奏。温かみのあるシンプルな照明に照らされながら、〈息を止めちゃダメだよ 頼むよ〉とささやくように歌うTeleの姿からは、切実な思いが伝わってくる。

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