閉鎖された寄宿学校の闇、「魂の救済」と児童虐待 米

ミズーリ州シーダー郡ストックトンのアガペ寄宿舎学校 JILL TOYOSHIBA/THE KANSAS CITY STAR/TRIBUNE NEWS SERVICE/GETTY IMAGES

1996年に開校したアメリカ・ミズーリ州シーダー郡ストックトンのキリスト教系寄宿舎施設「アガペ寄宿舎学校」は、ここ数年、数十人の元生徒への拘束・体罰、性的虐待といった疑惑を持たれてきたが、この度閉鎖することが明らかになった。

山のような民事訴訟とミズーリ州司法局の調査に見舞われている同校は、2023年1月20日より「サービスの提供を停止する」と11日に発表した――この決定について、元校長のブライアン・クレメンセン氏は資金繰りが立ち行かなくなったためと説明している。

【写真を見る】女性メンバーを「性奴隷」に

ローリングストーン誌が入手した11日の声明文で「アガペでは、更生プログラムに留まる少年を安全に両親や養父母、その他グループホームや居住型プログラムへ安全に送り届けることに主眼を置いています」と、クレメンセン氏は述べている。「今回の閉鎖決定は自発的なもので、ひとえに少年らのケア継続に必要な資金が不足しているためです」

クレメンソン氏は閉鎖を発表した声明の中で、アガペ校が30年にわたって「6000人以上の少年たちに人生を正しい方向に立手直し、明るい未来へ進むチャンス」を提供してきたと述べている。だが1月にローリングストーン誌が掲載した記事によると、アガペ校が誇る「チャンス」を与えられた数百人の生徒たちは、学校の厳格なパプティスト派の思想や、軍隊式の階層構造、極端な体罰は拷問と紙一重だったと考えている。

ミズーリ州ストックトンに位置するアガペ校は、「やる気を失った危機的状況の少年たち」向けの信仰深いパブティスト派更生施設を標榜していた。だが学校を相手取った複数の訴訟によれば、少なくとも18人の元生徒が、特定の職員が虐待を助長、または直接虐待に手を下していたと主張している。州司法局によると、他にも学生が壁や床に押し付けられたり、故意に食事を与えられなかったり、無理矢理手錠をかけられた状態で8日間眠らされたこともあったそうだ。一部の民事訴訟には、生徒の首つり自殺未遂が「蔓延」していたともある。学校側はこれら容疑をすべて否認している。

「職員は生徒を見下していました」と、2018年にアガペ校に入学した元生徒のアンドリュー・ブレシアーズさんはローリングストーン誌に語った。「お前たちに価値はない、お前たちはクズだ、チンピラだ。絶対成功できない、とよく言われました」

Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE