2022年、パンデミックを経て約2年ぶりの北米ツアーに加え、初の南米・メキシコツアーを行ったCHAI。世界中でライブを繰り広げていた以前のCHAIの日常が戻りつつある中、久々の日本でのツアー「ジャジャーンTOUR」が開催された。恵比寿ザ・ガーデンホールでのツアーファイナルをレポートする。【画像を見る】CHAI「ジャジャーンTOUR」ファイナル ライブ写真(全22点)お馴染みの英語と日本語が混じったSEが流れ、マナ(Vo・Key)、カナ(Vo・G)、ユウキ(B・Cho)、ユナ(Dr・Cho)がゆっくりと行進するようにして登場。背後からライトが照らされた4人の仁王立ちのシルエットからしてかっこいい。ミラクルツインズ・マナ&カナが見事なシンクロを見せながらアグレッシヴに踊りまくるブレイクビーツのラップ曲「END」からライブはスタート。
Photo by Yoshio NakaisoPhoto by Yoshio NakaisoPhoto by Yoshio NakaisoPhoto by Yoshio Nakaisoコロナ禍でライブ活動がままならなくなったタイミングで、ニルヴァーナやサウンドガーデンで知られるアメリカの老舗インディレーベル・SUB POPと契約し、バンドサウンドから逸脱した転換作『WINK』を世界リリースしたCHAI。その進化はライブにおいても大いに表れ、演奏形態も音像もより多彩になり、無敵感を増大させた。その象徴的な楽曲のひとつが『WINK』に収録された冒頭の「END」であり、「PING PONG! feat.YMCK」である。
マナ&カナがサンプラーを叩き、「PING PONG!」という音を出すと、オーディエンスがその音に合わせて「PING PONG!」と声を上げ、声出しがOKになったからこそのコール&レスポンスを展開。サンプラー担当は途中でユウキ&ユナにスイッチし、カラフルな音で場内の温度を上げていく。そして、ピンクのドレスチックな衣装に着替えたマナ&カナが現れ、スタンドマイクの前に立ち、キッチュなチップチューンに合わせてパラパラのような振り付きで「PING PONG! feat.YMCK」を披露。その後は4人がステージ前方に集まり、これまたコロナ禍での進化の賜物であるクールなダンスナンバー「ACTION」へ。間奏では4人がステージ中央から左、右に移動し、オーディエンスに近づき笑顔で手を振る。その光景をユウキがスマホで写真に収めるというシーンも含めて、世界中見渡しても他にはないCHAIのアートだ。
中盤の抽選会では、EP『ジャジャーン』購入者限定のミート&グリートの当選者を決めるくじ引きが行われた。ユナが当選者の番号を読み上げる度にオーディエンスは一喜一憂。当選者が歓喜する姿を見た4人が次々と「NEOかわいい!」と声を上げ、幸せな空気が充満していく。最強のポジティヴィティを持ったアーティストのファンはやはり抜群にポジティヴなヴァイブスを持っている。
Photo by Yoshio NakaisoPhoto by Yoshio Nakaiso下北沢BASEMENT BARで行われたCHAI初の東京ライブでも演奏された1stアルバム『PINK』収録の「ほれちゃった」を披露した後、マナのハイトーンの歌声が軽やかに踊る「フューチャー」へ。音楽ですべてをひとつにするようなエネルギーが放出される中、フロアでは多様なオーディエンスが楽しそうに踊る。マナが「次の曲でラストソング」と言うと、当たり前のように「えー!」という終わりを惜しむ声が多く上がるが、マナは「全然足りん!」と言ってオーディエンスを挑発。この親密なムードもCHAIのライブの魅力だ。
本編ラストは、最新EP『ジャジャーン』に収録されている「ラブじゃん」。叙情的なメロディと気怠いグルーヴで中毒性を形成しながら、ストレートに愛を伝えていく。