J-POPの歴史「1993年と94年、セールス的な意味だけじゃないポップミュージック黄金期」

1993年5月15日、日本にプロのサッカーリーグ「Jリーグ」が発足(Photo by Etsuo Hara/Getty Images)

音楽評論家・田家秀樹が毎月一つのテーマを設定し毎週放送してきた「J-POP LEGEND FORUM」が10年目を迎えた2023年4月、「J-POP LEGEND CAFE」として生まれ変わりリスタート。1カ月1特集という従来のスタイルに捕らわれず自由な特集形式で表舞台だけでなく舞台裏や市井の存在までさまざまな日本の音楽界の伝説的な存在に迫る。

2023年5月の特集は「田家秀樹的 90年代ノート」。「J-POP LEGEND FORUM」時代に放送した「60年代ノート」「70年代ノート」「80年代ノート」の続編として、ミリオンセラーが日常となった空前のヒット曲の時代「黄金の10年」を振り返る。PART2は、1992年、1993年のヒット曲9曲をピックアップする。

YAH YAH YAH / CHAGE and ASKA

FM COCOLO「J-POP LEGEND CAFE」マスター田家秀樹です。今流れてるのはCHAGE and ASKAの「YAH YAH YAH」。93年3月発売。93年の年間チャート1位。イントロだけで曲がわかるっていうありがたい曲ですが、今日のテーマはこの曲です。

今日なんでこの曲で始めたかというと、先週フジテレビの月9の主題歌が立て続けに記録的なヒットになって、それが90年代の幕開けだったという話をしました。CHAGE and ASKは「SAY YES」がありましたけどね。でも彼らの活躍はそこにとどまっていなかったんです。当時いろんな取材、割と近しいというか取材する回数が多かったグループが彼らで、いろんな思い出があるんです。92年のアルバム『GUYS』。あれはロンドン録音で一緒に行ったなとか、アルバムの中の「no no darlin'」は彼らのバラードの中でも僕が好きな屈指の1曲なんですね。

94年95年は彼らがアジアツアーに出かけたんです。そこで目にしたのが、アジア各地の街で、この曲でお客さんが盛り上がってるという感動的な光景だったんですね。コンサートでスタンディングの習慣が当時アジアはなかった。そのお客さんが警備員の制止を振り切って、立ち上がってこの曲を歌うという、総立ちになるとっても感動的なシーンがあったんですね。ただアジアツアーは94年95年なんで来週でしょ?って思ったんですが、来週もご紹介できる曲数が限られてる。これもあるこれもと思ってるとCHAGE and ASKAが入らないかもしれない。この曲を今週かけて、アジアツアーの話もしてしまおうという一石二鳥の選曲。

こういう説明が多い1カ月なんです。今週は92年と93年です。先週ユーミンが200万枚の扉を開けたという話をしました。この人たちはさらにその上、300万枚の扉を開けました。92年11月発売、DREAMS COME TRUEの5枚目のアルバム『The Swinging Star』から「決戦は金曜日」。



DREAMS COME TRUEは1989年デビューですね。まさに90年代を待っていたかのように登場しました。2枚目のアルバム『LOVE GOES ON…』と3枚目の『WONDER 3』がミリオンになったんですね。4枚目の『MILLION KISSES』はダブルミリオン。この『The Swinging Star』はトリプルミリオン。ホップステップジャンプで100万枚から300万枚まで一気にいってしまった。

インタビュー中で、フィリーソウルって言葉が当たり前のように使われるようになったのは、ドリカムからじゃないでしょうかね。フィリーソウルとジャズ、そして吉田美和さんの奔放な歌いっぷり。ユーミンが持っていた女性賛歌みたいなものが、もっとあっけらかんとした形で世の中にどっと押し寄せていった感じがしました。ユーミンとドリカムというのが、女性ボーカルシーンの両輪だった。そんな90年代前半でありました。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE