ストリッパーたちによる「搾取」との闘い 米

ストリッパーとデモ集会を開く支援者たち(REDERIC J. BROWN/AFP/GETTY IMAGES)

米ノースハリウッドのストリップクラブ「Star Garden Topless Dive Bar」のストリッパーたちによる15カ月におよぶストライキは、和解と未来への期待で幕を下ろすこととなった。

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彼女たちにとっては15カ月間におよぶ長い戦いだった。だが今月16日、労働組合Actors Equity Associationの言葉を借りれば「完全勝利」で、ダンサーたちは晴れて全米唯一のストリッパー組合員となった。18日に行われた投票集計の結果、全米労働関係委員会より組合が承認されたのだ。

ストリッパーたちは今よりも安全かつ清潔な職場を再三要求した(が無視された)末に、2022年3月18日、ストライキに踏み切った。ダンサーが歩道を封鎖し、ダンスやパフォーマンスで客の来店を阻止したため、店は休業せざるを得なくなった。ストリッパーたちは労働組合Actor’s Equity Association(通常は役者や舞台俳優を代表する組合)と組んで、組合結成の是非を問う選挙も申請した。

月にわたって交渉が続いた後、バーのオーナー側は和解審理で組合承認に同意した。オーナー側は今後30日以内に組合側と第1回契約交渉に臨むだけでなく、長機関のストライキ中に解雇されたストリッパーを再雇用した。またバーの営業再開についても現在協議が行われている。

「ストリッパーはライブ・エンターテイナーです。仕事内容には独特な部分もありますが、基本的にはパフォーマンスアーティストで、ダンスで生計を立てているEquity組合員との共通点も多々あります」。Actor’s Equity Associationのケイト・シンドル会長は16日の声明でこう述べた。「組合を希望する労働者は組合に加入する権利があります。Star Gardenのダンサーは、ここまで長い過程を戦い抜いた真の戦士です。職場の安全と民主主義に対する権利、そして集団交渉権を勝ち取ることができて感無量です」。

ローリングストーン誌の取材に答えたダンサー歴14年のリーガンさんいわく、歩道でのストライキを支えた「コミュニティに根差した協力的な文化」は控室から始まったそうだ。新型コロナウイルスでダンサーたちは頭を使って金を稼がなくてはならなくなると、Star Gardenでの勤務は単独行動というより、共同作業のような感じになっていった。

「ストライキを始めた時はこの先どうなるのか全く検討もつかなかったわ」とリーガンさん。「正直、嘆願書が集まれば対話が生まれて、職場も少しは変わるかなとは思ってたけど。まさか15月も裁判で争って、8月も歩道でピケを張ることになるなんて思いもしなかった。でも見事にやってのけたわ。なんとか力を合わせ、助け合って、誰もがストに参加できるようにしてきた。自分たちを誇りに思うわ」。

ダンサーたちは勝利に沸いているものの、この先も仕事が待っている。今後30日間はStar Gardenのオーナー側と集団交渉し、組合としての契約内容を決定めることになる。リーガンさんは今後の流れに楽観的で、今回の勝利をきっかけに全米のセックスワーカーにもプラスの変化が訪れるかもしれないと期待しているそうだ。

「この国の風俗業の見方という意味で、ものすごい勝利よ。ストリッパーは風俗業界でもすごく恵まれているほう。業界全体では搾取が横行している。私たちはストリップに正当な法的手段を求めて戦っているのよ。違法に解雇された後、交渉のテーブルで(オーナーと)握手したのは人生が変わる経験だった。歩み寄りのパワーと美点をはっきり実感したわ。目的が全く違う2つの集団でも、前進の道筋を見つけられるんだってね」

この記事は、NLRBによる組合承認を加筆して、5月18日午後3時25分に改訂されました。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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