ホワット・ウィル・ウィー・ビー

デヴェンドラ・バンハートのキャリアのなかで最高傑作と言っていいだろう。ロック史に燦然と輝く傑作にも引けを取らず、以前にも増して旺盛に音楽的視野を広げている。それは、森のビーチ・ボーイズとも言うべきサウンドで、踊り出したくなるようなギターとコーラスに彩られた「ベイビー」や、ぬくもりに満ちたサイケデリックなギターを聴かせる「ゴーイン・バック」が証明している。ファースト・クラスでの音楽旅行よろしく、ヘヴィなストーナー・ロック、ブラジリアン・トロピカリア、ブリティッシュ・フォーク・リバイバルなど、あらゆるスタイルを自在にモノにしており、また、研ぎ澄まされたさまざまな感覚が曲に表れている。アルバムが進むにつれ、彼は忘我の境地に達する。手作りの風合いゆえに、彼の困惑や心の揺れが透けて見えてくるのだ。だが、彼の書く歌詞のテーマには一貫性がある。それは、愛と善意を果てしなく追求すること。アルバム最後の3曲は優美かつ魅力的なラヴ・ソングで、すでに次作への期待が高まる。

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