ジェイコブ・コリアーが振り返る、カオスでカラフルな音楽人生の原点

ジェイコブ・コリアー(Photo by Olivia Richardson)

ジェイコブ・コリアー(Jacob Collier)がまもなく再来日。8月17日に東京・豊洲PITで開催される単独公演(SUMMER SONIC EXTRA)を経て、8月19日のサマーソニック東京公演初日は星野源がキュレーターを務めるBEACH STAGE「“so sad so happy” Curated by Gen Hoshino」に登場する。若き天才の素顔に迫ったローリングストーンUK版のカバーストーリーを完全翻訳。

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ジェイコブ・コリアーはこれまで発表してきたアルバム4作を通じてグラミー賞を獲得し、錚々たるビッグ・ヒットにも貢献してきた。コールドプレイやストームジーといったスターとも共演し、彼らの口からは称賛の声が絶えない。それほどの才能の持ち主が、まだ世間一般には知られていないのはなぜか? その疑問を解き明かすべく、ジェイコブにインタビューを行なった。

世界中のスターたちがジェイコブ・コリアーについて最上級の賛辞を送っている。もし、その内容に不一致があればフェイクだと思われかねないほどだ。

ストームジーは「彼は唯一無二の存在だ」と述べているし、コールドプレイのクリス・マーティンは、彼を「世界一のミュージシャン」と称した。ジェイコブの事実上のマネジャーであり、初期のメンターでもあった、かの偉大なるクインシー・ジョーンズはこう付け加える。「ここまでの才能の持ち主には出会ったことがない」




ジャズ、ポップ、ラップといった各分野のスターたちと共演を果たし、イギリス人アーティストとして初めて4枚のアルバムでグラミー賞を受賞したジェイコブは、地球上で最も引くて数多なミュージシャンの一人だ。とはいえ、彼の名前を聞いたことのない方も少なくないだろう。

王立音楽アカデミーのバイオリニスト/指揮者のスージー・コリアーを父にもつ、ロンドン生まれの28歳のマルチ・プレイヤー、ジェイコブ・コリアーは10年以上前からスティーヴィー・ワンダーなどのカバー動画をYouTubeに投稿したことで頭角を現した。画面が分割された動画の中で、ジェイコブはあらゆる楽器を目まぐるしく持ち替えながら演奏し、ループを生み出し、どの楽器をとっても信じがたいほどの器用さと天性の才能を発揮してきた。それらの動画が2015年にワンマン・ショウの世界ツアーを実施するきっかけとなり、そこからクインシー・ジョーンズの目に留まると、ジェイコブも彼を師と仰ぐように。クインシーは同年に彼をスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルへと連れていき、そこでハービー・ハンコックを紹介している。



「ハービーはBandcampで僕のディスコグラフィをすべて買ってくれたんだ」。本記事のために撮影中のドレスルームで、今でも信じがたいといった調子で彼は話してくれた。「メールが来たんだよ。『君の音楽を先ほど全部買った。素晴らしい! どこに住んでるんだ?』ってね」。購入時にハービーが残してくれたメモが、今もなおジェイコブの心に残っているという。「最高の音楽は最高の人生から生まれるんだ」。

Translated by Natsumi Ueda

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