アルステイク、瑞々しいエネルギーでそこかしこに生み出した感動

アルステイク(Photo by Makoto Nakagawa)

3月24日(日)に開催された「ツタロックフェス2024」。アルステイクのライブレポートをお届けする。

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アルステイクのリハをPA席の後ろのほうで観ていたら、タオルで顔を拭きながら観ている若い男女の姿が目に入った。横顔を見る限り、どうも涙を拭っているように見えた。曲は「終わりの続き」だ。

ふたりのあいだには微妙な距離感があった。お互い目を合わせるわけでもなく、ただステージを見つめそれぞれが涙を流している。曲が終わると目を合わせ、ふたりは何言か交わした。表情は少し照れ臭そうな感じだった。ふたりがどんな関係なのかはわからないけれど、アルステイクの演奏があの微妙な距離感を通じ合わせたような、そんな気がしてならなかった。

記者はそれをたまたま見かけただけだったけれど、アルステイクはきっと岡山で、全国のライブハウスで、フェスで、そんな光景をつくり続けているのだと思う。ライター用に設けられた席なんかで観るのではなく、もっと前のほうで観ていたほうがよっぽどいい原稿が書けたかもしれないと、少し後悔している。

演奏は瑞々しく、エネルギーにあふれていた。曲調こそパンキッシュなパワーポップといったところだが、細かいアレンジやギターのフレーズなんかには、スマッシング・パンプキンズあたりの90’sのUSインディーからの影響も垣間見られた。また、3曲目「わんちゃん」などに見られる、キメのコードを鳴らしつつもすき間にハーモニクスを入れるといった、ひだかよしあき(Gt,Vo)のさりげないテクも光る。半音下げチューニング特有の、ローポジションの太いギターサウンドもシンプルにカッコいい。キャッチーなアレンジがいたるところに散りばめられた平均2分の楽曲は、イントロからアウトロまでの全セクションがサビのようだ。

ひだか「今日はいちばん最初から全バンド観てました。バンドもライブも全部最高だった。でもなにより、お金使って、体力使ってるそこにいるあんたらがいちばんホットでグッドでした。それぞれ最高な瞬間があったかもしれないけれど、今日はその最高を塗り替えるために来ました」

2日間のクロージングアクトとして出演した彼ら。リハで7曲、本編で12曲と、持ち時間を5分オーバーして終演。「あとで怒られます」と言ってこの日3度目となる「走れ」が最後にかき鳴らされた。サークルモッシュも起こる熱気のなか、あのふたりはどこで観ていただろうか。

<イベント情報>

Vポイント presents ツタロックフェス2024
公演日:2023年3月23日(土)、24日(日)
会場名:幕張メッセ国際展示場 9・ 10・ 11ホール
主催:CCCミュージックラボ(株)/ライブマスターズ(株)
企画:CCCミュージックラボ(株)
制作:ライブマスターズ(株)
運営:(株)ディスクガレージ
特別協賛:CCCMKホールディングス(株) / 三井住友カード株式会社
問い合わせ: https://cccmusiclab.com/tsutarock2024

<公式SNS>
Twitter:https://twitter.com/tsutarocklive
instagram:https://www.instagram.com/tsuta_rock_live_official/
Facebook:https://www.facebook.com/tsutarocklive/

Rolling Stone Japan 編集部

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