Kocorono 完全盤』/『NO ALBUM 無題

ブッチャーズ史上、最も歌がまっすぐに響いてくるアルバム。吉村秀樹がここまでメロディに向き合った作品は初めてである。ぶっとい歌は、ある種病的なまでに重ねられた吉村の声(曲によっては3声を重ねた)のせいだ。そして、結成23年目を迎えてなお当然のようにアップデートを続け、一方で成熟などくそ食らえと言わんばかりに、もやもやした感情を蒼く解き放つ姿には感動を禁じ得ない。吉村が世の中に唾を吐き続ける限り、彼ら4人はブッチャーズであり続けるし、自分を含むファンも聴き続けていく。  同時発売の『kokorono』は、オムニバスに切り離されて収録されていた「1月」を収録した完全盤。言わずもがな1996年の、いや90年代を代表する名盤で、未だに中毒者が数多い作品だ。もしあなたがブッチャーズ童貞あるいは処女ならば、無理をしてでも新作とセットで購入してほしい。聴く価値はたんまりとある。

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