ニューヨークを拠点にする4人組バンドのデビュー・アルバム。何と全曲演奏のみのインストゥルメンタルで、70年代のプログレを思わせる音なのだ。ただ、その音を貫くエネルギーとパワーが、まるで現代的なロックだといわんばかりのヘンテコなアルバム。もともとはヘルメット、ドン・キャバレロ、リンクスなどといった実験性の強いインディ・バンドで活躍してきたメンバー。だから、これはプログレが完全にインディ・ロック化したとも言える作品なのだ。演奏を引っ張るのは、とてつもないリズムでドラムを叩きまくるジョン・ステイ。まるで全速力でヘアピン・カーブに突っ込むクルマのようなスリルを伴う。ただ時にはそのまま大破してしまうのだが。またギターやシンセなど、どのパートもリズムを刻むことがベースになっている。だからどんなに奇妙なフレーズの組み合わせも、なぜかすんなりと上手くいってしまうのだ。いったん聴いたら、病みつきになるだろう。

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