今最も注目されるアーティストのひとりで、スリランカ系のヒップホップ・アーティスト、M.I.A.。彼女は世界中で大ヒットしたデビュー作『アルーラ』で聴かせた、UKヒップホップ風のビートに代わる音を、次回作で打ち出していくことを当初、考えていた。で、このセカンドではヒップホップ・プロデューサー、ティンバランドと、ラジオ受けするビートを作り出すことを予定していた。けれども、政治的に過激な発言を繰り返しいたM.I.Aはアメリカ政府から入国を拒否され、ティンバランドとコラボレーションすることができなくなってしまった。そこで急きょ、彼女はアメリカ以外の世界各地を周り、各国のヒップな音源やビートを採集したのである。  デビュー作『アルーラ』では、M.I.A.の生い立ちと自分が元難民として受けてきた暴力を映し出すような作品だった。その後、世界各地の貧困地域を訪れたことで、外の世界から自分を見ることができるようになった。この新作は、そんな彼女が改めて自分を表現する作品なのだ。内容は、世界中の貧困層にとってのダンス・ミュージックを一緒くたにしたような、前代見聞の作品。そんな画期的なことをやったアーティストは、クラッシュ以降、存在しなかったと言える。

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