ジャックとメグという2人だけのラインナップでガレージ・ロックとブルースを叩き出すように演奏してきたザ・ホワイト・ストライプス。実際、彼らの凄さと魅力はどこにあるのだろうか? まず、彼らはこれまで5枚のアルバムにわたって、ドラムとギターと数本のアナログ・テープでありとあらゆる音を圧縮して合成。その結果、数々の名曲を生み出してきた。そして何よりも、ジャック・ホワイトはソング・ライターというより、サウンド・クリエイターと呼ぶほうがふさわしい。というのも、ジャックの作る曲に意味があるのではなく、むしろ音そのものに意味があるからだ。このアルバムでは前作同様、さまざまな楽器が使われていて、メキシコ音楽のミュージシャンとの共演も実現されている。ただ本当に聴くべきところは、例えば2曲目の「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」のサウンド。この曲は性差別を糾弾する歌になっているが、実際この歌詞はジャックにとってはどうでもいいのだ。なぜなら、爆裂するギター・リフに意味があるのだから。ホワイト・ストライプスはパンクとロックの基本を取り戻したと評価されてはいるが、実はどこまでも音をスタイリッシュに求めるバンドなのだ。

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