エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス

元ニルヴァーナのデイヴ・グロール(ヴォーカル兼ギター)率いるフー・ファイターズ。6枚目のアルバムは、いろんなジャンルのバンドの名曲を集めた、コンピレーションといった内容(もちろん、全てフーファイターズなのだが)。スピード感溢れる曲、甘いグラム・ロック調の曲、サザン・ロック、ゴスなフォーキー・ソングなど、あらゆるジャンルのサウンドを聴くことができる。以前は、アルバムごとにテイストを変えていたグロール。だが今回はそれらすべてを一枚の作品にまとめる余裕があったようだ。しかし、楽曲同士が衝突してしまっている。最終曲「ホーム」は、グロールひとりのヴォーカルとピアノで構成されているが、まるで退屈なメロドラマのようだ。これには、失望させられた。また、女性ギタリスト、カーキ・キングが参加したインスト曲「バラード・オブ・ザ・ビーコンズフィールド・マイナーズ」は、06年のタスマニア炭坑事故で生き残ったファン(iPodから流れるフー・ファイターズの曲を聴き、救助を待ち続けた)が題材に。だが、聴いても何のことかわからない。グロールが誠意のある男だということだけはわかったのだが。

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