当事者たちの本音に迫った「最後のジェダイ」制作密着ルポ

BRIAN HIATT | 2018/02/11 11:00

| 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から。デイジー・リドリー演じるレイ(JONATHAN OLLEY/© 2017 LUCASFILM LTD) |

 
続三部作における2作目となる『最後のジェダイ』(12月15日公開)では、旧三部作における2作目『帝国の逆襲』がそうであったように、物語は不穏な展開を見せると言われている。ジョンソンは異を唱える一方で、著作権問題が取り沙汰されつつも2000年代に人気を呼んだ『宇宙空母ギャラクティカ』のリメイク版からの影響は認めている(ルーカスが70年代に放映された同テレビシリーズを模倣作だとして過去に訴訟を促したことを考えれば、このことは皮肉に違いないが)。「いい意味でファンの期待を裏切られたらと思っているんだ」。ジョンソンはそう話す。「驚くと思うよ。トレイラーは確かにダークな雰囲気だし、本編には実際にそういう面もあるけれど、一方で僕は今作をエキサイティングな内容にしようとすごく苦心したんだ。『スター・ウォーズ』はワーグナー的なだけじゃなく、『フラッシュ・ゴードン』のような一面もある。この物語が持つ多様な魅力を、今作ではすべて表現してみせたかった」
 
10月下旬の現時点では本編を観た人間はほとんどいないものの、ジョンソンは作品の反響を不思議なほど楽観視しているように思える。ハンとレイアの息子でありながら、ダース・ベイダーを崇拝するカイロ・レンを演じるアダム・ドライバーによると、ジョンソンは撮影中も常に落ち着き払っていたという。「僕が彼の立場だったら、ものすごくプレッシャーを感じていたと思う」。彼はそう話す。「他の人間が紡いできた物語を引き継ぎながら、同時にこれまでの『スター・ウォーズ』にはなかった要素を持ち込むっていうのは、ものすごく困難なことに違いないからね。彼はものすごくスマートだけれど、そのことを周囲の人間に理解させようとしたりしないんだ」(重要な新キャラクター、ローズ・ティコを演じるケリー・マリー・トランはこう話している。「撮影中はずっと気の合う仲間たちと遊んでいるような感じだった」)。取材から数週間後、ルーカスフィルムはジョンソンが次の10年間に製作される予定の『スター・ウォーズ』3作を手がけることを発表した。広く人気を呼んでいるスカイウォーカーの物語とは切り離された、新たなサーガの指揮をジョンソンが任されたことは、ディズニーおよびルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディが『最後のジェダイ』の出来に極めて満足していることを示唆している。彼女がハン・ソロに焦点を当てたスピンオフ作品のディレクターを制作半ばで解雇し、エピソード9の監督を務める予定だったコリン・トレヴォロウを降板させ、再びエイブラムスを呼び戻したことを考えれば、彼女を満足させることが容易ではないことは明らかだ。
 
『フォースの覚醒』の最大の魅力は、レイやカイロ・レンをはじめ、ジョン・ボイエガが演じるストームトルーパーの脱走兵フィン、オスカー・アイザックが演じるポー・ダメロンなど、数々の魅力的な新キャラクターたちだ。カイロ・レン(出生名はベン・ソロ)がライトセーバーで、ハリソン・フォードが演じるハンを葬ったことで、ジョンソンは最も魅力的なキャラクターの一人を失った。だからこそ、レジスタンスを率いる将軍となった、キャリー・フィッシャーが演じるレイア・オーガナ、そして本編のクライマックスで登場する、マーク・ハミルが演じる白髪交じりのルーク・スカイウォーカーは、物語における精神的支柱でもあった。
 
『最後のジェダイ』は、フィッシャーにとって最後の『スター・ウォーズ』作品となった。多くの著名人が命を落とした2016年、彼女は飛行機での移動中に心停止を起こし、その4日後にこの世を去った。約1カ月後、ワシントンD.C.で行われた約50万人の女性たちによるデモ行進では、1977年当時のレイアを模したドーナツ型のヘアスタイルと、プラカードを手に声をあげる女性が数多く見られた(最も印象的だったスローガンは「レジスタンスこそが女性の居場所」だろう)。

数年前、筆者が取材でビバリーヒルズにある彼女のサイケデリック調の自宅を訪れた際に、彼女がベッドに入ったまま愉快なインタビューを行ったことを話すと、彼女と親交を深めていたジョンソンは顔をほころばせた。取材終了後、同席していたディズニーの広報担当者の目の前で、彼女はドラッグや精神疾患に関するジョークを連発したのだった。「彼女が作り出すマジカルな空間を、君も体験したんだね」。同じベッドルームで彼女と台本を確認したというジョンソンはそう話す。「わずかでもあの空間で彼女と時間を共有して、少しだけ彼女について知ることができて、僕はうれしく思っているんだ」
 
ジョンソンは彼女が登場するシーンに修正を加えなかった。「それが正しいと思ったんだ」。彼はそう話す。「幸運にも、彼女の登場するシーンはすべて撮り終えてたからね」。結果的に、フィッシャーとレイアの不在にどう対処するのかは、エイブラムスに委ねられる形となった(彼らしい思わせぶりな口調で、エイブラムスはこうコメントしている。「悲しい現実にどう対処するか、それは時が来ればわかるよ」)。

 『最後のジェダイ』のストーリーを、ジョンソンは不可解なまでに自由に紡いでいくことができた。誰かが独裁的にプロットを決定するようなこともなく、ジョンソンは撮影の進行とともに展開を決定していったという。そのアイデアに対する危惧がファンの間で広まった時、彼は困惑したと話す。「ストーリーというのは誰かの手によって作られるものだ。ホワイトボードに大きく書き出された、10年前から存在する厳格なものであっても、撮影が進む中でオーガニックに生まれてきたものであっても、そこに細心の配慮がなされていることには変わりないんだよ」

 
Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDED

おすすめの記事