2006年5月、レディオヘッドは制作中のフルアルバム『イン・レインボウズ』で使う素材のロードテストを行う手段として、ヨーロッパでの小ホール・ツアーをスタートさせた。公の場で初披露された新曲のひとつが、ワイルドな夜遊びについて歌った歌詞が特徴のこの『Open Pick』である。「あの歌詞はかなり痛烈なんだ。「意識がなくなる前の状態」というアイデアとかそういったもので、我を忘れるまで飲んだり、記憶を失うほど泥酔することについて歌っている」と、2007年、ヨークはNME誌に語った。「全員で一斉に記憶をなくそうとする集団に属している時には、ある程度この曲のような高揚感があるものだ。でも、もっと負の側面もあるけどね」。バンドはアルバムを完成させるまでに、曲のテンポを少し落とし、曲名を『Jigsaw Falling Into Place』に変更した。この曲は、2009年の『イン・レインボウズ』ツアーの最終公演以降、演奏されていない。
9位『All I Need』
レディオヘッドが2006年のアメリカ劇場ツアーを始めて6週間ほど経った頃、バンドはシカゴのオーディトリアム・シアターで完全な新曲を発表した。「この曲は少し前に作った下書きのようなものだ」とヨークは観客に向かって言った。この素案はかなり細部までこだわって作られていたため、1年以上先のアルバムに収録される頃まであまり変更が加えられなかったが、収録バージョンは複数の録音を繋ぎ合わせたものである。「アルバムの収録曲を編成した時、何度も幽体離脱を経験できるようにこの曲を慎重に編集した。例えば、『All I Need』は4つの異なるバージョンからできていて、一番良い部分すべてを寄せ集めて作ったものなんだ」とヨークは述べている。この曲は『イン・レインボウズ』ツアーの常連曲だったが、2012年の『ザ・キング・オブ・リムス』ツアーで演奏されたのはわずか4回のみで、かなりレアな存在になってしまった。