マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィンが語る「人生を変えたギター」

フェンダー・ジャズマスターを愛用する、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ(Photo by Tessa Angus/Fender)

8月17日(金)に開催されるソニックマニアでのステージも楽しみなマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。ケヴィン・シールズが愛器について語ったインタビューをお届けする。

ケヴィン・シールズが理想のギターと出会ったのは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの結成から約5年後のことだった。長い間、フェンダーやギブソンの模造品を使っていた彼は、独特の流線型ボディと多様なコントロール系統、そしてボディから伸びる長いトレモロアームが印象的な1964 Fender Jazzmasterを友人から借りた。それまでクランプスやプッシー・ガロアを思わせるヘヴィなロックンロールを鳴らしていた彼らは、この頃からより実験的な方向性へとシフトチェンジし始め、1990年に『ユー・メイド・ミー・リアライズ EP』を発表する。「ジャズマスターとの出会いがすべてを変えた」。シールズはそう話す。

シールズはそのギターを手にしてすぐ、通常のストロークとトレモロアームによるピッチの急激な変化を組み合わせるスタイルを考案し、バンドの代名詞である白昼夢のようなサウンドが響き渡る「スーン」を書き上げた。「新しいおもちゃを手にした子どものような気分だったよ。頭で考えるんじゃなく、ただサウンドに身を任せるんだ。音を鳴らすたびに、その次の音へと引き寄せられていくのがわかるんだよ」。1991年発表の歴史的名盤『ラヴレス』とそれ以降の作品はすべて、彼を虜にしたそのサウンドの産物だと言える。

5年ぶりのアメリカ・ツアーを開始させたばかりのバンドの新作について、シールズは「100パーセント今年中に出る」と明言する。ジャズマスターの誕生60周年にあたる今年、フェンダーが新たに3モデルを発表するにあたり、シールズは人生を変えたギターへの思い、そしてマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの未来について語った。

ー初めて手にしたギターは?

Hondo Ⅱだね。クリスマスにどこかのレコードショップで買ったやつで、50ポンドだった。16歳のときだよ。(ギブソンの)SGの模造品で、Bigsbyのトレモロアームが付いてたんだけど、一度も触らなかった。使い方がわからなかったからね。チューニングが狂ってばかりで、イライラさせられたよ。それを使ってたのは半年〜1年くらいで、その後Cimarとヤマハ・SGに乗り換えたんだ。

ー初期はレコーディングにもそれらのギターを使っていたのでしょうか?

使ってないね。(ドラマーの)コルム(・オコーサク)と一緒にアイルランドを離れて、(レコーディングのために)オランダとドイツに行ったんだけど、現地でまた別の安物のギターを手に入れたんだ。まったくの偶然なんだけど、アイバニーズ製のジャズマスターの模造品だった。形がすごく気に入ったんだ。説明書にはトレモロが載ってるのに、本体には付いてないっていういい加減なやつだったけどね。

Translated by Masaaki Yoshida

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