今年結成20年を迎える大阪出身の5人組ヒップホップバンド、韻シストによる通算8枚目のアルバム『IN-FINITY』がリリースされた。
「韻シストとは何か?」をあらためて問う新作『IN-FINITY』
ディアンジェロやエリカ・バドゥらに代表されるニュークラシックソウルの影響を色濃く受けつつも、関西弁をクールでスタイリッシュに響かせるなど独創的なサウンドプロダクションによって、生演奏ヒップホップのトップを走り続けてきた彼ら。前々作『CLASSIX』はその集大成ともいえるアルバムで、続く前作『Another Day』では様々なジャンルを取り込み、ヒップホップの定義をも拡張してみせた。
あれから1年ぶりの本作は、最近のヒップホップシーンに対する複雑な思いを吐露した歌詞や、気鋭のバンドCRCK/LCKSの小西遼のペンによる、ジャジーでメロウな音像、オールドスクールへのオマージュを込めた楽曲など、まるでショーケースのように韻シストの持つ様々な側面が散りばめられている。
「韻シストとは何か?」を改めて自らに問うような本作が、一体どのような経緯で生み出されたのか。BASI(MC)とTAKU(ギター)に聞いた。
─『CLASSIX』が韻シストのそれまでの集大成的なアルバムで、『Another Day』はもはやヒップホップのマナーに則っていなくとも、韻シストはヒップホップのDNAを受け継いでいるということを証明するようなアルバムでした。その2枚を経て本作『IN-FINITY』は、どんなアルバムを目指しましたか?
BASI:アルバム冒頭の「時代」「Don’t Worry」の2曲ができた時には、景色がちゃんと見えていたんです。「アルバムの幕開けはこんな感じや」っていう。みんな、韻シストに対して華やかなイメージを持ってくれていて、それはそれで嬉しいと感じる一方で、どこか孤独な部分、喪失感もあって。
「実は、こんなドロドロしたことも考えているんだよ?」っていう、ちょっと鬱屈した思いを吐き出したくなった。なので、この2曲ができたその勢いでアルバムを作ろうかなと思ったんですけど、TAKUからストップがかかって。