ヘリコプター撃墜からの生還、波乱万丈の女性退役軍人が挑む「怒りの選挙戦」

アフガニスタンでのヘリコプター撃墜から2018年の民主党下院議員選の出馬まで、MJ・ヘーガーは「勝ち目のない逆境に挑む」のが大好きだという。(Photo by Akasha Rabut for Rolling Stone)

米テキサス州の民主党下院議員候補者、メアリー・ジェニングス・MJ・ヘーガーはこれまでの人生の中で数多くの苦難を乗り越えてきた。米テキサス州ラウンドロック出身のヘーガーは、幼い頃にドメスティック・バイオレンスを経験し、空軍のパイロットとなった軍隊ではセクシャル・ハラスメントに直面し、アフガニスタンでは三度も軍事作戦を行った。

2009年に彼女が乗ったヘリコプターがタリバンに撃墜されたとき、彼女は救援に来たヘリコプターのスキッド(貨物の下に敷く角材)にしがみつきながらライフルを発砲して敵を蹴散らすことに成功。これによって彼女はパープル・ハート勲章と殊勲飛行十字章を授与され、アメリア・アーハートの次に同勲章を授与された数少ない女性受賞者となった。

「あのような状況から生還できた人間として、その後の人生を無駄に過ごすことはできない」と、42歳のヘーガーが言う。「何らかの形でその代償を払わないと」と。



このヘリコプター撃墜で負ったケガのために彼女のパイロット人生は終わりを告げ、軍隊を去ることとなった。その理由の一つに、女性兵士を地上戦闘だけに就かせるという法律があった。そして、退役した彼女はその法律と方針を変えることに労力を費やす。米国自由人権協会と提携し、彼女は2012年にこの法律案を覆させた。それも地元の連邦議員からの援助を一切得ずにやり遂げたのだった。

「軍隊には女性が従事できる仕事がたくさんあるので、その扉を開けようと戦っていたとき、彼は私と会うことを拒んだ」とヘーガーが言う。この彼とは、テキサス州の共和党下院議員ジョン・カーターで、これまで15年間、「テキサスの真紅の31区」と呼ばれるテキサス中央からオースティン北部にかける選挙区の代表を務めている。「彼は誰とも面会しない。小切手を受け取り、教えられた通りの投票を行うだけで、住民の声になど一切興味を持っていない」と、ヘーガーが断言する。

彼女はこの地区に新たなリーダーが必要だと思っていたが、2016年の選挙後にその思いを強くした。「ここで何かしないと、子どもたちを落胆させると思う」と彼女。「将来子どもたちに『2017年に自分の権利が攻撃に晒されていたとき、母さんは何をしていたの?』って聞かれたとき、彼らをまっすぐ見て『私は全力を尽くしていた』と答えないといけないのだから」と。

軍隊でのヘーガーの経歴は国家安全保障問題に役立つが、彼女が訴える問題は雇用の拡大、医療費負担、特定利益集団の権力の減退、公立学校の強化だ。「この地域の有権者に、彼らの投票が本当に重要で、彼らはひとりじゃない、彼らには選択肢があると説明するために、自分個人の資金をたくさん使っている」と彼女が説明する。

今回のへーガーの選挙立候補は、アメリカ国内の革新派を刺激してきた。現在、彼女自身の人生の縮図を描いたようなキャンペーン広告がバイラルで広まっている。そして来る11月には76歳の現職議員との熾烈な戦いが待っているのだ。ヘーガーは言う。「これは勝ち目のない戦いじゃないし、私は勝ち目のない逆境に挑むのが好き」だと。



Translated by Miki Nakayama

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