反逆児ジェイ・ホワイトが東京ドームの先に見る「夢」

ジェイ・ホワイト(Photo by Shuya Nakano)

躍進を続ける新日本プロレスの世界戦略を担うキーマンのひとりが、"スイッチ・ブレイド"の異名を持つジェイ・ホワイトだ。2019年1月4日に行われるオカダ・カズチカとのシングル戦は、団体の行く末をも左右する大一番となるだろう。

すべては、偶然聴いていたラジオ番組から始まった。WWEが主催する世界最大のプロレス興行「レッスルマニア」の観戦ツアープレゼントに当選した少年は、オークランド(ニュージーランド)から飛行機でアメリカの会場へと運ばれ、初めてプロレスを目撃。その場で自分が実現すべき“夢”を決定したという。入門からわずか3年という異例の速度で、新日本プロレスのトップに躍り出てきたプロレスラー、ジェイ・ホワイト誕生の瞬間である。

かつてのオカダ・カズチカがそうであったように、早熟の天才に対する風当たりは、決して穏やかなものではなかった。しかしジェイは、そうした声を、自らの実力で着実かつ強引に潰していった。2018年にはケニー・オメガ、棚橋弘至、そしてオカダ・カズチカをシングルで撃破。さらには裏切りと謀略を駆使し、オカダが率いるユニット「ケイオス」全体を追い込んだことにより、団体の最大勢力をも掌握しうる存在となった。東京ドーム大会でのオカダ戦は、いわば新日本プロレスの“看板”を塗り替えるための重要な闘い。しかしジェイは、その先にある究極の目標に向かう通過点の一試合に過ぎないと笑う。彼が東京ドームの先に設定する目標とは? いまだミステリアスな部分が多い、ジェイ・ホワイトの内面に迫る。

今の俺が「ふさわしい」存在なのか常に、自問自答しているよ

─11月5日に行われた公開記者会見でも着用していたこのスーツは、自分で選んで購入した私服だそうですね。昔のプロレスラーにありがちな、ワイルドな“男らしさ”を強調するファッションとは一線を画す、繊細なセンスを感じさせます。私生活でもオシャレに気を配るほうですか?

ジェイ:うん、普段からオシャレをするのは大好きだよ。外見を変えることで、自分の気分もアガるからね。でも今日のスーツは、ビジネスのために選んでいるという意識のほうが強いかな。プロとして、練習や試合と同じくらい、見た目も大切だと思っているから。だって、たとえインタビューの現場とはいえ、俺がよれよれのトレーニングウェアで現れたらガッカリするだろ(笑)?

─確かにそうですね(笑)。とはいえ、インタビュー時の外見まで配慮しているとは、大変なプロ意識の高さです。そこまでの意識を持つようになったのは、やはり新日本プロレスへの参戦がきっかけとなったのでしょうか?

ジェイ:プロとしてとるべき態度については、以前から真面目に考えていたけど、その意識がより強くなったのは、やはり新日本のリングで闘い、さらに海外での経験を積んだことが要因かもしれない。大きな会場でたくさんのファンに注目される試合をすることで、トップに立つために必要な態度について考える機会も自然と増えていったから。自分が現在置かれているシチュエーションにふさわしいレスラーなのか? という自問自答は今でも常に続けているよ。

これまでに起きた出来事すべてが“ナチュラル”なんだ

─現在置かれているシチュエーションという点でいえば、この1年間に起きたジェイ・ホワイトというレスラーの変化と成長は、多くのファンにとって“劇的”以上のものでした。新日本参戦から3年、プロデビューを含めてもわずか5年というキャリアで、ここまでのポジションを得られるとは、自分でも予想していなかったのでは?

ジェイ:いや、そんなことはないね。ここまでの出来事は、すべてが“ナチュラル”なんだ。

─つまり、当たり前の結果ということ?

ジェイ:確かにファンの間では、俺が突然、不自然な変化をしたように見えているんだろうね。プロレスに限らず、ファンって自分たちが予期していなかった出来事に対して、とかくネガティブに捉えるものだから。

─プロレスは特にファンの思い入れが強いジャンルですからね。自分の考えに当てはまらない試合や選手に対して、否定的な意見が出る傾向はあるかもしれません。

ジェイ:なんでもファンの思い通りになるわけではないのにね。ただし、俺はここまで思い通りに事を進めているけど(笑)。



─また、そういう発言も反感を買いそうな(笑)。


ジェイ:思い通りといっても、決して簡単に成し遂げているわけではないんだよ。正直言って、自分がレスラーとしてズバ抜けた才能を持っているとは思っていない。だからこそ、どうすればトップに立てるか、そのために必要なことを日々考えている。その積み重ねが、今のポジションにつながっているだけなんだ。

─意外と謙虚な一面もあるんですね。

ジェイ:今でも、リングに上がって試合開始を待つとき、自分自身に言い聞かせるんだよ。「ジェイ、自分が選んだ道が正しいことを奴らに証明するんだ」って。でも、それは謙虚とは違う気持ちだよね。敢えて自己分析するなら、性格的には全然謙虚ではなく、むしろ我儘なナルシストだと思う。自分のしたいことはすべて実現させているし。そもそもナルシスティックな部分がなければ、自分を信じることができないから。

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