検事はデルヴィー被告が計画中だったという建設プロジェクト「アナ・デルヴィー財団」についてもふれ、「初めから最後まで作り話だった」とし、被告が銀行からの融資をビル開発に使うつもりは毛頭なかったと述べた。「シティ・ナショナルに融資申請をするころには、本人もビル建設が実現しないことはわかっていました」とマッキー検事は主張し、パークアヴェニューサウスの問題の物件にはすでに借主が見つかっていた事実を挙げた。マッキー検事は被告が銀行融資を最初から私用に使うつもりだったと主張。Wホテルで650ドル以上もミニバーを利用していた事実にふれ、彼女の浪費家ぶりを裏付けた。「ずいぶんな量のM&Mですね」という検事の発言に、陪審員から笑いが漏れた。
デルヴィー被告は検察側の最終弁論の間ほとんどスフィンクスのように腰かけ、時々弁護士のほうへ身を乗り出して何かを相談していた。検察側が提出したいくつかの証拠を目にして、笑いを押し殺す場面もあった。
デルヴィー被告が身分を偽って、被害者から金やサービスを得ていたことは「言い逃れできない」とマッキー検事。「彼女が被害者たちと交流する中で、嘘に嘘を重ねていた事実は、どんな言い逃れもできません」
スポデック弁護士はデルヴィー被告の詐欺を「目的達成のための方便」と見せようとしたが、マッキー検事は、事態はもっと深刻だと言い切った。「ガールフレンドに向かって、ジーンズ姿でもお尻は大きく見えないよ、と言うのが方便です」とマッキー検事が言うと、陪審員からまたもや笑いが起こった。
「偽の銀行書類、偽のメールアカウント……これらは方便ではありません」