2度の有罪判決と無罪判決を受けた米国人女性、アマンダ・ノックス「裁判」の狂騒に迫る

なぜアメリカ人の少女がチャールズ・マンソンに変貌したのか、その謎を本にするつもりで私はイタリアへ渡った。1カ月間イタリアに腰を据えた結果、「事実」として伝えられている情報の多くが、イタリアの警察の記録にはないことが判明した。ある時、私はクネル氏にメールを送り、彼が主張する一連の「証拠」はどこから入手したものなのか尋ねた。

するとクネル氏は、私がこれまで――女性ジャーナリストのはしくれとして――受け取った中でも、脅迫に分類されるメールを送ってきた。私のマンハッタンのアパートを「監視」してやると言い、「子供たちは元気か?」という言葉で締めくくった。

一方、イタリアではジャーナリスト保護委員会(CPI)が警戒を強めていた。イタリアの司法制度に異議申し立て書を提出したジャーナリストに対し、警察や検察からの攻撃が行われているというのだ。CPIによると、ペルージャ警察は罪のないイタリア人ブロガーのアパートに、令状もなく、警察バッジを見せることもなく無理やり押し入り、彼を床に押し倒して殴りつけ、手錠をかけた後、馬乗りになって首を絞めたという。地方判事も同様に、自分の気に入らない記事を書いた記者を召喚し、有罪にした経歴の持ち主だとも語った。彼はベテラン犯罪記者を刑務所に入れ、アメリカ人の作家を国外追放し、ノックス裁判で彼の判決に疑問を呈したイタリアやアメリカの記事を次々と名誉棄損で訴えた。

イタリア最高裁は2015年、ノックスの有罪判決を覆した。ヨーロッパ人権裁判所は今年イタリアに対し、ペルージャ警察の不手際に対する損害賠償金をノックスに支払うよう命じた。いまとなっては、ノックス裁判も冤罪だったと広く認知されている。だが数百万の人々にとっては、いまもフェイクニュースであり続けている。

そして現地時間の13日、アマンダ・ノックスはイタリアへ向かった。国民の大半がいまだに彼女を12年前のルームメイト殺人事件の犯人だと考えている国で、「恐怖と向き合う」ために。



Translated by Akiko Kato

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