ーそこからJazzy Sport入りしたあと、2014年の『SONGS OF FOUR SEASONS』では、現在にも繋がるメロウでオーガニックな音作りに取り組みだしています。
僕はいつだって、新しいことに挑戦するといいものが作れると信じているんですよ。毎回異なるテーマを設けて、それにトライするようにしています。
『SONGS OF FOUR SEASONS』収録曲「森の言葉」
ー2017年の前作『This Journey』では、アコースティック・ギターがサウンドの軸になっていました。この大胆な変化はニューアルバムの『By The Ocean』にも直結していますが、何かターニングポイントがあったりしたんでしょうか?
いや、きっかけは特にないんですよ(笑)。なんとなくアコギ弾いてみようかなって。ギターは子供の頃にメタルを聴きながら弾いてた程度で、僕のなかでは長らく封印してたんですけどね。
ーアコギを演奏するようになってから、作曲面も変わってきたのでは?
それはあると思います。ギターと鍵盤だと構造が違うから、出てくるフレーズも違うし独特の響きがある。あとは鍵盤みたいに順番に(音が)並んでいるわけではないので、アクシデント的にハーモニーが生まれたりすることもあって。そういうのがおもしろいですね。
『This Journey』収録曲「Won’t You Come Back」
ーギターを弾くようになったのと、ライフスタイルの変化も関係あったりしますか?
たしかに、もう少しフィジカルを使いたくなったのはありますね。昔はラップトップに向き合うばかりだったけど、それはもうイヤだなって(笑)。ギターの場合、曲作りのプロセスも練習になるんですよ。ずっと指を動かしてるから、弾けば弾くほど上達していく。そうやって演奏が巧くなるのは、打ち込みをエディットするのとは全く違う楽しさがありますね。それに弦を鳴らせば、ボディの木が振動してるのまで伝わってくる。そういうオーガニックな楽器って、いつまでも長く弾いてられる気がします。
ーアコギに目覚めたことで、ベースの演奏に変化があったりはしました?
それはないかな。今も誰かに頼まれたら弾きますよ。でも、ベースはひとりで弾いてても楽しくない(笑)。あと、指の動かし方はそこまで違わないので、アコギを習得するのはそんなに苦労はしなかったかもしれないです。