こぶしファクトリーが切り開く「道」と音楽への飽くなき探究心

アカペラからの影響

―作品の話に戻りますが、今回は2年10カ月ぶりのアルバムで、「亀になれ!」などライブで既に披露してきた曲を収録しています。現場で歌い重ねてきた曲を録るのはやっぱり違いますか。

井上:全然違います! 振りが付いてるというのもあるんですけど、呼吸のタイミングが掴めてる曲はリズムの取り方も違ってきます。

広瀬:「亀になれ!」と「消せやしないキモチ」と「ドカンとBREAK!」はライブでやっていたものを音源化しているんですけど、「亀になれ!」と「消せやしないキモチ」は特にツアーで歌いこんだあとにレコーディングしたので、すごくイメージが湧きやすいんです。

―そうでしょうね。

広瀬:ライブで歌っていない曲をディレクターさんに「もっとこんな感じで歌って」って指示されて歌うと、みんなと合わさったときに自分の声が浮かないか気にしながらレコーディングすることになるんですけど、ライブで歌ってる曲はみんながどんな感じで歌うか把握した上で歌うのですごく安心感があるし、やりやすいですね。でも今回、「シャララ!やれるはずさ」っていう2年以上前にリリースしたシングルを5人バージョンで録り直したんですけど、この曲はライブの定番曲なのでものすごい回数を歌ってるんですね。そうなると逆に、「レコーディングでどう歌ったらいいんだろう……」ってなってしまって。自分の声がライブバージョンに慣れすぎてしまって、丁寧に歌えなかったりしてやりづらかったです。「亀になれ!」と「消せやしないキモチ」をライブで歌ってたのは半年ぐらいだったので、それぐらいがやりやすいなって感じましたね。

―事前にライブで歌い込んでいるほどいいってわけではないんですね。

広瀬:そういうわけでもないんだなって今回思いました。

―先ほどから話に出ているアカペラですが、今作には初回盤特典としてアカペラ集が付いてます。アカペラも初披露から2年が経ちましたね。

広瀬:「チョット愚直に!猪突猛進」の初披露から2年ですね。

―アカペラに取り組み始めたことは、皆さんの歌にどういう影響を与えていますか。

広瀬:自分の声のことってなんとなく自分ではわかってても、得意な音域がどこかっていうのを客観的に言われることってあまりないじゃないですか。だけど、ディレクターさんにパート分けをされたことによって自分の得意な音域を知れたので、自分がどこを強みにしていいたらいいのかわかるようになりました。それと同時に、アカペラ以外でも、普段の曲の歌割りで音域の棲み分けを感じるようになったし、ユニゾンでもしっかり周りの歌を聴いて合わせるようになれたと思います。

―ボイスパーカッションを担当する井上さんは特殊でしょうね。

井上:最初は、「チョット愚直に!猪突猛進」を1曲通すだけでも苦しくて、「息継ぎするとこないじゃん!」って思いながら練習してたんですけど、この前、久しぶりに「猪突猛進」をやったら先生が「え、余裕じゃん」って言ってくださって。今、自分でも成長を感じています。ビートパターンを増やすために誰のどんな曲でもいいからドラムの音をいっぱい聴くように言われてから、いろいろ音楽を聴くようになったんですけど、そうすることで自分たちの曲でもアクセントを取る場所が明確にわかってきたり、ダンスもほめられるようになってきたので、「ボイスパーカッションはダンスや歌にも生かせるんだな」って思いました。

―リズム面を強く意識するようになったと。

井上:そうですね。最初の頃は、みんなはちゃんと歌えてるのに私が足を引っ張っちゃってるって思うことが多かったし、速いテンポの曲を安定させるためにメトロノームを見たりしてたんですけど、最近は「もうちょっと早くして」って言われたらすぐに対応できるようになったし、テンポキープも前よりできるようになったので、リズムの練習を楽しくできてるなって思います。

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