自慰を禁じるインターネット・ミームに隠された「極右」の痕跡

極右思想との関連付けに頭を悩ませている人々

もちろん、No Nut NovemberやNoFapの参加者がみな白人至上主義者や宗教原理主義者でないことは言うまでもないし、両グループの創始者も、関連性をほのめかす意見にははっきりと反論している。u/yeevalは彼のサブレディットでは反ユダヤ的、女性蔑視的なコメントは見たことがなく、ユダヤ人ポルノ支配説を仄めかす陰謀論は「誰かが良からぬ/明らかに攻撃的なジョークを仕掛けようとしている」のだと主張している。「NoNutNovemberは政治活動ではありません。反ポルノ運動でも、反女性運動でもありません。マスタベーションやセックスに反対しているわけではないのです」と彼は言う。「NoNutNovemberはただ単に楽しいインターネット・チャレンジです。ネット上で多くのミームが出回ったおかげで、人気が出たにすぎません……ですが、これほど広まった理由には、大勢の人たちが自分自身を振り返り、自分がいかにマスタベーションやポルノのお世話になっているかに気づくチャンスを得られたこともあると思います」

NoFapコミュニティの管理者プラマー氏曰く、サブレディットのモデレーターたちは「一部のヘイトグループや過激派集団、特に反ユダヤ主義的なグループが、反ポルノ運動を自分たちの主義に取り入れているのを見て嘆いている」という。「ごく限られた一部の反ユダヤ的トロールは、我々のフォーラムに時たま現れる程度です。その場合も、我々のモデレーターチームが即座に削除します」と言って彼は、女性蔑視や反ユダヤ的な投稿を禁止するサブレディットのポリシーを引き合いに出した。彼は、反ポルノ思想と極右グループ間の共通項をほのめかす意見を「回復期にある人々を中傷しようとする……ポルノ業界やポルノ支持者」らの手段だとみなし、そうした憶測は「怠惰で、欺瞞に満ち、正当でないばかりか、メンタルヘルス業界公認の“ポルノ中毒”と長年戦っている人々に対する甚大な攻撃」だと述べた。

Coomerのミームも、少なくとも本来は、政治とは無関係だとアリス・ヴォーン氏は言う。『Two Girls One Mic』というポルノ系ポッドキャストの司会者だ。「Coomerを取り巻くコンセプトは、政治的に右でも左でもありません。性欲が強い人々を辱めようとする願望は昨日や今日のものではなく、大勢の人々、特に若者(4chanのユーザーの大部分)はこの話題を不快に感じています」と彼女は言う。

Translated by Akiko Kato

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