NY発、人工呼吸器不足の深層「豚インフルエンザの誤った教訓」

孤立無縁になることはわかっていた

先日トランプ大統領はニューヨークを非難し、これ以上の人工呼吸器は保証できないと発言した。「無理だ」と大統領は報道陣に語った。「ニューヨークにはもっと人工呼吸器の備蓄がもっとあったはずだ」(トランプ大統領本人も、ウイルスの死者数が世界的に増加するのを目の当たりにしながら、初期の警告を無視し、ウイルスの脅威を軽視したとして、方々から非難を浴びている)

ニューヨーク市も14年前のプランで、パンデミックの特性――急速かつ圧倒的な勢いで複数の地域を襲う――を考えれば、様々な意味で孤立無援になるだろうと認識していた。

「ひと度アメリカ全域で感染が大流行すれば、連邦政府の戦略備蓄からの物資支給が見込めない可能性もあり、各地の貯蔵が頼みの綱となるだろう」と、2006年の報告書にも書かれている。

当時ニューヨーク市保健局の副局長を務め、パンデミック対策プランの立案にも携わったアイザック・ワイズフュース博士はその年の新聞のインタビューで、連邦政府を当てにすることはできないだろう、と述べた。「いかなるパンデミックへの対応においても、ニューヨーク市は自分たちの面倒を自分たちで見ることになるだろう、というのが我々の考えです」

全国的に取り上げられたニューヨークの人工呼吸器問題は、パンデミックが始まる前から言われていたその他の警告と同様に、専門家が前々から挙げていた重大な脆弱性のひとつであるにもかかわらず、政府が優先して予算に組むことはなかった。

当時のニューヨーク市保健局長で、2006年のパンデミック対策プランの陣頭指揮を執ったトーマス・フリーデン氏は、その3年後にアメリカ疾病予防管理センターに異動し、プランの主な部分は実行されぬままだった。現在、公衆衛生の慈善団体を主宰しているフリーデン氏は、最近国の準備不足を非難して注目を集めている。1月にも、「我々は今、次の世界的大流行に対する備えを怠ったツケを払わされている」と書いた。

Translated by Akiko Kato

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